自分の顔はべつに嫌いじゃない。でも多くの人に「美形だね」と賞賛される顔でもないこともわかってる。大規模な顔面改造ではなく「なんかちょっとキレイになった」程度に顔面レベルを向上させる美容医療を受けてみたい――そんな気持ちがムクムク膨らんできたのは、最近、加齢によるものなのか、顔が痩せて輪郭が変化してきた(と感じている)からです。
折りしも昨今、美容医療業界の進歩は目覚しいと聞きます。女優さんやモデルのみならず、「読者モデル」として雑誌に出てくる綺麗な一般女性(業界人だけど)も、もしかしたらさっきすれ違って「わーキレイだなー」と一瞬見とれた30前後の女性も、何かしらの施術を受けて美貌をUPさせているのかもしれません。目元や頬のハリにまあるい額、ピカピカ輝いて見えるお肌は、レーザー治療やヒアルロン酸で手に入れているのかも? ああ、自分の顔に「それ」を施したら、どんなふうに変わるだろうか? やってみたい、やってみたい! 生まれたままに成長した骨格、数え切れないほどの深酒や徹夜の荒波をくぐってきたこの肌に、化学変化を起こしてみたい~! そんな好奇心が疼くのです。
しかし一方で、「やり始めたら止まらなくなっちゃうかも」「家計が破綻するかも。美容破産とかムリムリ」「美魔女風芸能人みたいなパンパンテカテカのスケキヨマスク風・不自然お肌になっちゃったり、しぼんだダッコちゃん人形のような老女顔になってしまうかも」と、過剰に美貌へ執着することへの懸念も払拭できません。いかにもな量産顔の韓国整形も気持ち悪いし……。
また、安全と思っていても、自分が最初の失敗例となってしまう可能性もありますよね。顔には複雑に神経が走っていますから、針を刺す位置や深さがちょっとでも狂うと神経を傷つけてしまうかも。美容医療業界最大手の某美容外科では、“溶ける糸”によるフェイスリフトが、偏頭痛や神経痛を引き起こしたり「一年経っても溶けず違和感がぬぐえない」として患者たちが集団訴訟を起こしてもいます。一概に「美容整形・形成」といっても、施術を担当する医師はひとりひとり、技術も志も、患者との相性も違いますから、きちんとしたクリニック選びはもちろん、実際にドクターカウンセリングを受けてみて、自分にあった信頼できる医師選びをすることが重要です。
この期待と不安を同時に解消するには、やはり、専門家を直撃するのが一番。というわけで、東京イセアクリニックの三苫葉子先生に、様々な疑問をぶつけて参りました!
ハリかシワかのジレンマ
――まずは世間的に「こりゃ失敗じゃないか?」と言われている事例……たとえばアンパンマンのようにパンパンに張った顔面ですとか、「溶けてる!?」と言われるお肌ですとか、そういう事例、いわゆる「顔面崩壊」がどうして起こってしまうのかについてお伺いしたいのですが。
三苫先生「基本的に、歳を取ると皮膚はどうしても痩せるんです。10代の時にはギュっと水分や脂肪が詰まってパンと張りのあるお肌だったとしても、30代になると中身が少なくなってくるようなイメージです」
――10代の時はナチュラルなアンパンマン。30代以降でそれを維持しようとすると、スカスカの部分に異物を注入して人工的なアンパンマン状態にするしかないのでしょうか。
三苫先生「簡単に言えばそういうことですね。注入するものはご自身の体から採った脂肪でも良いですが、主流なのはヒアルロン酸とかレディエッセです。注入物によって、肌にボリュームやハリ感を出そうという治療法です。同時に、細かいシワを治療するためにボトックスなんかも併用したりしますね。で、そういった施術を必要以上に組み合わせやりすぎてしまった結果、頬・目の周り・おでこあたりはパンパンに膨らんで見える、といったことも起こりえます」