そして、パレードが始まる
彼女と別れて広場の芝生に座り、ステージのパフォーマンスを眺めていると、パレードのコースが発表されました。広場からスタートしてロッテホテルの前を通り、しばらく進んだらミョンドン(明洞)方面へ右折。南大門市場近くを通って広場に戻る、前回の2キロよりも長い2.6キロのコースだと紹介された瞬間、喜びの声があがっていました。
でも肝心のパレードが妨害されてしまっては、この喜びも台無しになってしまう。そんな私の心配は、結論から言うと杞憂に終わりました。
午後5時頃から始まったパレードは、警察ががっちりとガードしていたことから大きなアクシデントもなく、6時過ぎに無事終了!
日本からも東京レインボープライドと、あらゆる差別にNOをつきつけるパレード『東京大行進』の実行委員会・『TOKYO NO HATE』のコラボフロートも参加して、盛り上げに一役買っていました。
東京レインボープライドの山縣真也共同代表や、東京のパレードでも歩いていたオープンゲイの、石川大我豊島区議の姿も。政府に期待しなくたって、個人レベルではがっちりと連帯しているなんて嬉しいじゃありませんか!
日本人観光客にはおなじみの明洞ミリオレビル前あたりにさしかかると、空気もパレードも最高潮! 反対車線から声援を送る自転車乗りや、飛び入り参加する人の姿も。私も最初は沿道で撮影をしていたけれど、見ているうちに思わず参加して歩いてしまったほど、笑顔と楽しさとレインボーに満ちあふれたパレードでありました。
笑顔と寛容の祭典
しかしソウル市庁前広場に戻ってみると、まーだ反対派の抗議は続いています。キョンサンナムド(慶尚南道)の方言で「同性愛が何だ! お父さんが泣いてるぞ!」だの、「ホモ=エイズ」だの、余計なお世話の上に差別意識丸出しのプラカを掲げていて、気分悪いったらありゃしない!
でもそんな連中の挑発に乗ることもなく、参加者の誰もがパレードの成功を笑顔でお祝いしていました。
寛容と笑顔は心を温かくする。でも偏見と差別は人の心を荒ませる。幸せだとはとても思えない表情を浮かべた、憤怒まみれの抗議者たちの横を再度すり抜け(今回もプラカや旗竿でしばかれることはなかったけれど、笛を吹いてきた謎のジジイあり)、ワタクシも帰途につきました。また次回も無事に楽しく、開催されますように~!
(写真・文=久保樹りん)