連載

【厚木ネグレクト死事件】自炊も掃除も金銭管理も役所手続きも不得手な父親の、破綻した育児

【この記事のキーワード】

ケータイ7万食費10万の破綻生活

 それにしても、なぜ妻が出て行ってすぐにライフラインが止まるような事態になるのか? 齋藤被告は「金銭的な面で」支払いができなかったと述べているのだが、当時、手取りで月に23~25万ほどの給与をもらっていた。3人暮らしから2人暮らしになって、しかも1人は幼児であるから、むしろ余裕が生まれるのではないかと思うところなのだが、なぜか齋藤被告の生活は困窮していた。

弁護人「支出は?」

齋藤被告「食費、携帯代、車のローン、消費者金融……」

弁護人「家賃も」

齋藤被告「はい」

弁護人「食費は?」

齋藤被告「月10万はかかってた」

弁護人「ケータイは?」

齋藤被告「2人分で、7~8万くらい」

弁護人「あなた、奥さんが出て行っても奥さんの携帯料金を払ってたんですか?」

齋藤被告「そうです、一応、自分名義で借りてたんで……妻のを払わないと、自分も止まるので」

弁護人「奥さんは携帯を?」

齋藤被告「月5万は使ってました。自分は2万くらいです。主に仕事で、道路状況などのやり取りを……トラックの運転をしてるので、ルート、納品先での待ち時間とか、そういうことです」

 仕事内容にかかわる携帯電話使用であっても会社は料金を負担してくれず自腹だったため毎月高くついた。また、なぜか妻の携帯を解約せずに1年間も支払いを続けていたという。電気やガスが止まる前に、出て行った妻の携帯電話料金の支払いを拒否するor携帯電話自体を解約するという行為をなぜ、やらなかったのか。このあたりに齋藤被告のアンバランスな面が垣間みえる。

 また、部屋から出た大量のゴミについても言及があった。

齋藤被告「まあ、お互い掃除が苦手っていうのが原因だったのかな、と」

弁護人「奥さんもあなたも掃除が苦手?」

齋藤被告「はい」

弁護人「奥さんが出る前もゴミ屋敷状態?」

齋藤被告「……あったみたいです」

弁護人「さらに、ゴミ増やしてない?」

齋藤被告「増やしてます。自分で捨てていました。なかなか全部捨てるのは難しい……」

弁護人「足場を作るために適宜捨てていた?」

齋藤被告「そういう意味もあります」

 もともと妻も齋藤被告も片付けは苦手な部類で、妻が出て行く前から散らかっている状態ではあった。これは知人も証言している。だが、妻が出て行った事でさらにゴミ屋敷化が加速していったようだ。

 続けて齋藤家の保険証の話に移る。妻は、出て行くときに保険証を持ち出しており、これが原因で、齋藤被告はさらに金銭的に困窮した。

(高橋ユキ)

次回につづく

1 2

高橋ユキ

傍聴人・フリーライター。2005年に傍聴仲間と「霞っ子クラブ」を結成(現在は解散)。著作に「木嶋佳苗 危険な愛の奥義」(高橋ユキ/徳間書店)など。好きな食べ物は氷。

twitter:@tk84yuki

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

パパ1年生