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「子を産む責任」という女への圧力。「産まない」選択した山口智子、そして小泉今日子の言葉から考える

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 山口智子と同世代で、子供を産まなかった著名な女性といえば、小泉今日子(50)がいる。96年から04年まで俳優の永瀬正敏と結婚していたが、現在は独身だ。小泉もまた、かつて「子供を産まなかったこと」について記していた。05年に読売新聞の読書委員に就任し「日曜読書面」での執筆を開始した彼女は、小説『四十九日のレシピ』(伊吹有喜/ポプラ社)の書評で、「四十歳を過ぎた私の人生の中で、やり残したことがあるとしたら自分の子供を持つことだ」と書いた。「時間に限りのあることだから、ある年齢を過ぎた女性なら一度は真剣に考えたことがあると思う。家族の再生を描いた心優しいこの物語を読んで、私はそんな思いから少しだけ解放された」と。

 『四十九日のレシピ』は、ある家族の母(=父の再婚相手)だった女性が71歳で亡くなり、残された家族たちがそれぞれの傷から立ち直ろうともがく姿を描いた作品。父の娘である百合子は不妊治療を経たが子供を産めず、20年以上付き合ってきた夫の不倫も知ってしまった。父・良平は妻をなくした喪失感と、最後に妻に投げつけた言葉への後悔で茫然自失。彼らと、家族以外の「母」を知る人々との交流。キャッチコピーは「わたしがいなくなっても、あなたが明日を生きていけるように。大切な人を亡くしたひとつの家族が、再生に向かうまでの四十九日間。」だった。

 小泉は自身50歳の誕生日であった2月4日に発売され即重版となるほど売れているカルチャー誌『MEKURU』小泉今日子特集内のロングインタビューにて、「会社勤めをしていたら60歳で定年だし、社会の中で何かを残すとしたら、あと10年だと思っていて。そうすると、やっぱりあんまり時間がないから、あとから歩いてくる人たちが歩きやすいような道を整えたいと思いますね」と発言もしている。

 子供を産まなかったからといって、「社会に何も残せない」わけでも、「責任を果たせない」わけでもないのだ。

(ヒポポ照子)

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ヒポポ照子

東京で働くお母さんのひとり。大きなカバを見るのが好きです。

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四十九日のレシピ (ポプラ文庫)