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なぜ女性は昇進・昇給しづらいのか 「女性らしい生き方」と「女性の生きづらさ」

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男女の差が開くのは大学卒業後

日本の管理職に占める女性割合は平成24年度で係長、課長、部長を合わせて11.6%ですが、その中でも一番多いのが係長相当職の14.4%、部長相当職では4.9%と、全体として非常に低い水準にあります。女性はなぜ昇進・昇給で不利なのでしょうか?

先ほど男女の大学進学率はそれほど変わりがないと述べました。しかし、進学率に大きな差はなくとも、進学する大学の難易度に違いがある可能性もあるでしょう。そこで、男女の出身大学の難易度の違いをみたいと思います。

東京大学の男女比率は4:1、慶応大学は2:1、上智大学は1:1、明治大学は2:1、帝京大学は2:1、国立大学平均は3:2です。東京大学も含め難易度の高いとされる国立大学は、設置されている学部が文系学部よりも理系学部の方が多いため、理系の学生の方が多くなります。理系学部が女性に比べて男性のほうが進学する比率の多いことを考えれば、私立大学より男子学生の比率が高いのは当然でしょう。また、私立大学の男女比率は難易度で大きく差があるわけではありません。ときおり聞かれる「偏差値の高い大学は女子比率が低く、偏差値の低い大学は女子比率が高い」という話は迷信に過ぎない、ということです。

そもそも東京大学にしても、日本の女性管理職と比べれば、男女比率の差はそこまで大きいものではありません。私の研究室がある男子ばかりの東大ですら、男女比は4:1にとどまっているのですから、男女の学力差に起因して、女性の昇進・給与が男性より低く抑えられているわけではないということになります。つまり、男女の社会参画は、大学在学中まではそこまで大きく差があるわけではないのに、卒業してから差が開いていくのです。

いつから「女性らしい生き方を探そう」にシフトするのか

女性は結婚出産を経て仕事を辞めるから仕方がない、という考え方もあるかもしれません。しかし、女性の勤続年数は長期化しており、雇用者のうち女性の平均年齢は40.0歳、平均勤続年数は8.9年であり、男性は平均年齢42.5歳、平均勤続年数13.2年と大きな違いがあるわけではありません。つまり、結婚しようが子どもができようが、女性も男性も同じように働き続けているのに、女性は昇進・昇給で男性に大きく水をあけられているのです。

しかし、男子と同じぐらい勉強もできて、希望をもって大学に進学し、意気揚々と社会に出ようと夢を抱いていた女子高生は、一体いつ、自分は男子とは同じ働き方ができない、男子とは同じようになれない、男子とは違うんだということを突き付けられ、それならば女性らしい生き方を探そう、と考えるようになるのでしょうか? 次回以降、さらに踏み込んで考察していきたいと思います。

参考
内閣府男女共同参画局 男女共同参画白書平成25年版
川口章、2008、『ジェンダー経済格差―なぜ格差が生まれるのか、克服の手掛かりはどこにあるのか』勁草書房
橘木俊詔、松浦司、2009、『学歴格差の経済学』勁草書房

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古谷有希子

ジョージメイソン大学社会学研究科 博士課程。大学院修了後、ビジネスコーチとして日本でマネジメントコンサルティングに従事したのち、渡米。公共政策大学院、シンクタンクでのインターンなどを経て、現在は日本・アメリカで高校生・若者の就職問題の研究に従事する傍ら、NPOへのアドバイザリーも行う。社会政策、教育政策、教育のグローバリゼーションを専門とする。

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学歴格差の経済学