――それはわかる気がします。モノを買ったりサービスを受けたりしているわけでもないのに、お金を払うのって何だか悔しいです。
丸田「それまでは、私も住宅購入に踏み切る友人に対して、『よくやるな~』という気持ちでいたんです。でも同じ金額を払って資産を手に入れられるんだったら、その方が賢いなと考えが変わりました」
――買って良かったこと、後悔したことを挙げるとしたら?
丸田「良かったことばかりですよ。月々のローンの支払いは3万5千円ですから、以前の家賃の半分。広さは2倍になりました」
将来の見通しは立っている
――たしかに都心でその価格と広さの物件は、賃貸なら見つからないですよね。でもローンは、先々まで払わなければなりません。35年ローンだとすると73歳。その年齢まで同じ部屋に縛られることに、不安はなかったのでしょうか。たとえば恋人ができたら、部屋が重荷になったり……。
丸田「今の恋人と付き合い始めたのは家を買った後でしたけど、困った記憶はありません。結婚しても2人で住める広さはありますし。もちろん、先のことはわかりません。子供ができるかもしれないし、九州の実家に帰ることがあるかもしれない。だから買うときからライフスタイルの変化を想定して、他人に貸したり転売したりできるように、立地にこだわりました。中野新橋は都心の真ん中にありながら、静かで住みやすい街。しかも駅から徒歩3分ならば、借り手はつくと予測しています。ローンに関しても、3万5千円なら負担にはなりません。実際私は、住宅購入時に勤めていた会社を辞めてフリーランスになっているので、毎月の支払いが安いのは、本当に助かっています。それぐらいの金額なら、年金暮らしになっても何とかやっていけるのではないかと……」
――たしかに購入価格1000万円、月々のローンが3万5千円は安いです。それぐらいの価格帯の物件って、よくあるのでしょうか。
丸田「1000万円代の中古物件は、築浅にこだわらなければ都心でもけっこうあるんじゃないかな。今は高度経済成長期に建てられたマンションを分譲した世代が、お亡くなりになったり住み替えられたりして、安く売りに出ている物件が多いんです。マンション住民が世代交代する今の時期が、狙い目かもしれません」
今は住宅に関しては“ストック時代”といわれています。つまり、住む人に対して余った住宅(ストック)の方が多いということ。そんななかでは、高価な新築ではなく、中古物件を購入するのも一般的な選択です。でも、中古ならではの問題点などは、ないのでしょうか? 後編では、丸田さんに買ったからこそわかるリフォームや修繕のエピソードなどもうかがいます。
(蜂谷智子)
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