連載

待機児童問題、批判的な議論「育児で輝けば」「夫の三歳児神話」「なぜ0歳で入園?」

【この記事のキーワード】

 ひとつ前のトピでもコメントにあったが、育児休暇は「復職」前提の制度だ。取得者(主に母親だが)は復職を見据え、0歳児入園に勝負をかける。なぜか? ちょうど良いコメントがあった。

「育休は1年間しか取れない会社が少なくないのですが、たとえば8月生まれの子の場合、次の8月に1歳になって入園する場合、0歳クラスになります。でも既に4~7月生まれの子たちが入園してしまうと、枠がなくなってしまう。だから0歳8カ月の4月に、育休を切り上げて入園させているのです。育休を1年以上取れれば1歳枠が増えると助かるのかもしれないけど、育休1年間の会社が多い今、1歳になってもクラスは0歳なので、やっぱり0歳クラスが多くないと困るんですね」

 そうなのだ。前年度に出産した方々は、4月の時点で0歳児クラスにお子さんの入園が決定しないと、また来年4月まで待機しなければならない。育休期間が、一年を超えてしまう。そんでもって、1歳児クラスの枠は狭いもんだから、そのまま退職せざるを得なくなったりして……(悲)。認可保育園に入れなかったが何としても退職は避けたい場合、無認可の保育所に預けたり、ベビーシッターや保育ママなどを利用しながら復職、そして次年度の募集がかかる時期を待つのである。

 保育園の多くは、0歳児クラス(0→1)、1歳児クラス(1→2)、2歳児クラス(2→3)、3歳児クラス(3→4)、4歳児クラス(4→5)、5歳児クラス(5→6)の六年で構成される。小学校入学の時点では全員、6歳だ。

 では、0歳児から受け入れのあるA保育園で、施設規模などから5歳児クラスの定員が18名と決められているとしよう。0歳児クラスの定員は17名。1歳児以降、新規で入れる子供はたった1人だ。途中で園児が引越しに伴い転園したり、親の離職で退園したり、幼稚園に変更したり……などの理由から、「一枠だけ空きが出ましたよ!」となることもあるが、枠が限られていることには変わりない。つまり、ただでさえ0歳児の枠が狭いところへきて、そこに漏れて1歳児からの入園を試みたとしても、現状ではかなり困難なのである。ただ、一部保育園には「1歳児クラスから」のところもあり、0歳児の保活に破れた親は翌年、こういった園を狙う。

 筆者も子供を産むまでこうした細々したルールは一切知らなかった。育休を延長できる会社もあるが、復職を考えている会社員の親が0歳児~1歳児クラスでの入園を狙うのは当然なのである。しかし、置いてけぼりなのは筆者のように夫婦どちらかが自営業である場合だ。

 保育園入園の審査はポイント制であり、都内の場合、両親ともに会社員であれば点数は高く、自営業家庭は不利なスタートを切る。しかし、自営業は早めに働かなければ収入に直結する(雇用保険の加入がないので、育休中は収入がゼロになる)ので、とにかく少しでも子を預かってもらって復職したいのだ。勝手な事を言えば個人的には、入園審査に自営業枠があると嬉しいなと思う次第である。

 また、このトピでは「保育園には多額の血税が投入されている、けしからん」論調のコメントも見られるが、日本における高齢者の数とその人々が受けることのできる公的サービスに投入されている税金を比較してみた方がよいのではないか。また、保育園の月額料金は、低所得のひとり親など事情がある世帯を除けば、世帯収入(所得)によって大きく変わる。誰もが激安で保育園を利用しているわけではない。messy編集長のケースをきいたところ「区の運営する認可保育園で、子が0歳児クラスのときの保育料は一カ月6万5000円くらいでした。3歳児クラスの今は一カ月2万5000円ほど」とのこと。一方では「認可外保育園で、一カ月の保育料が15万円!」という悲鳴をきくこともたまにあるから、それに比べれば認可は確かに安いが……。

 公的サービスは税金で賄われている。そりゃそうだ。だが、納税者が公的サービスを使うのもまた当然のことである。冒頭で記したように、今回の待機児童問題を受けて、保育制度充実を要望する署名が2万8000も集まった。少なくともこれだけの人々が、「納税の義務」を果たしながらも、保育園に預けることができずに困っているのだとしたら、それこそ「私たちの血税だぞ!」と怒りたくもなるのではないだろうか。

1 2 3 4 5

ブログウォッチャー京子

1970年代生まれのライター。2年前に男児を出産。日課はインスタウォッチ。子供を寝かしつけながらうっかり自分も寝落ちしてしまうため、いつも明け方に目覚めて原稿を書いています。

twitter:@watcherkyoko

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

保育園に入りたい! 2016年版(日経BPムック) (日経BPムック 日経DUALの本)