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女性の受動的なセックスの背景には「家族の期待に応えたい私」がある『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』

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主体的な性的関心は、性をポジティブに捉えやすい

 今回使用する「青少年の性行動全国調査」は1974年に開始され、ほぼ6年間隔で今日まで続けられている継続調査です。調査にもいろいろな種類がありますが、継続調査の大きな特徴として「基本的には同じ質問を使い続ける」という点があります。それによって日本の青少年における「変化をとらえる」ことができるという前提で設計がなされています。また、若者を対象に性に関する調査をしていると「真面目に答えていないのでは」「実態を反映していないのでは」といった質問がよくあるのですが、何十年もの期間を使って積み重ねた数万ものデータアーカイブがあるためにこのような「誤差」を見つけやすいというのも大きな強みだといわれています。

 この調査でいわれていることのひとつに、若者の性に対するイメージが変化しているという状況があります。たとえば、1988年には性に対するイメージを「楽しい」とした男性は40%、女性は13%でした。しかし2011年には男性が64%、女性で49%が性に対するイメージを「楽しい」としていて、大きな変化が見られています。しかし、これはあくまで日本全国の中高、大学生をならした結果です。なんといっても女性で5割程度の支持なのですから、「私は性に対して『楽しい』なんて思えない」「周りの友達をみてみても『楽しい』なんて言っている人はいない」という感想を持つ人も少なからずいると思います。性に対するイメージは「性に関心があるか」と大きな関わりがあることがわかっていますので、こうした印象の違いは関心の強さを反映したものとして理解することもできるかもしれません。

 図2に「楽しい」、「恥ずかしい」、「汚い」、「重い」、といったイメージに対して「はい」と回答した人の割合を、男女別、性に対する関心の有無別に示しました。

(図2:性への関心の有無と性やセックスに対するイメージ 「青少年の性行動全国調査」より)

(図2:性への関心の有無と性やセックスに対するイメージ 「青少年の性行動全国調査」より)

 図2から読み取れることは、イメージにおける男女の差というのはたしかにあるのですが、それよりも関心の有無による違いが目立っているという現状です。

 「楽しい」と答えた人は「性に関心がある」男性で69.1%、女性で67.8%と男性がやや多く、「性に関心がない」場合も同様に男性で29.2%、女性で27%とやなり男性がやや多くなっています。しかし「関心がある」では男女ともに7割、「関心がない」では男女とも3割であるという点に注目すれば、「楽しい」と答えるかどうかは、男女の違いよりもそもそも「性への関心の有無」による違いが大きいということが見えてきます。

 「性への関心への有無」が意味する具体的な行動としておさえておきたいのは、そもそも「関心がある」女性は男性に比べて少ないですが、性的な意味を持つ漫画や雑誌、WEBなどへのアクセスは、性への関心がある場合には男女ともに高くなり、また、自慰行為の経験率も高くなるという事実です。性に対する主体性の獲得は、性別に関係なく性に対してポジティブな側面を見出しやすいという点がポイントだといえると思います。

女性にとってセックスは「自ら選んだもの」ではない

 図2では性に対するイメージの持つ影響は、性別よりも性的関心の有無にあることを示しました。しかし、性に対するイメージについて考える際には、もうひとつ踏まえておきたいことがあります。それは実際のセックス経験が与える影響です。大変興味深いことにこれには男女で差があり、男性の場合、性的関心の有無による影響が性交経験を持つことによって打ち消される様子です。統計的な事情をはぶいてごく簡単にいうと、それまで性に関心があろうがなかろうが、セックスを経験すると性に対するイメージはだいたい同じになってくる(概ねポジティブになる)という状況が男性にはみられるというわけです。

 もちろん、厳密に言えばその時の相手やシチュエーションによってイメージはよくなったり悪くなったりします。しかし統計的にみてみると、男性の場合は、はじめてのセックスの相手は同い年または年下で「自分から言い出した」(「言い出さざるを得なかった」というのも含めて)というケースが多いことが事実として確認できています(関連するデータを、本連載の第一回「初体験はどちらから? 『東京タラレバ娘』からみる男女恋愛不平等論」で紹介しています)。性に対するイメージは、主体性が関わっているという見立てに即して考えれば、男性にとってはセックスそのものが主体性を発揮できる場だとする位置付けが可能といえそうです。

(図3:性交経験を持つ女性における、性への関心の有無とセックスに対するイメージ 「青少年の性行動全国調査」より)

(図3:性交経験を持つ女性における、性への関心の有無とセックスに対するイメージ 「青少年の性行動全国調査」より)

 しかし女性の場合はそうはなりません。図3に示したように、性交経験を持つ女性同士を比べたとしても、そもそも性に対して関心があったかどうかはイメージと関連していることがわかっています。たとえば、性は「楽しい」とした女性は「関心あり」では77%ですが、「関心なし」では42.9%となっていて、35ポイントもの差があります。セックス経験の有無にかかわらず比べた状態である図2では「関心あり」67.8%「関心なし」27%でしたから、セックスの経験がある人の方が全体的にポジティブな印象を強めているという状況は、男性と同様です。しかし関心の有無による違いを打ち消すほどの力を持っているとは言えなさそうです。「恥ずかしい」「汚い」「重い」などにおいても同様で、セックスの経験がないよりはあった方がポジティブにはなり得ますが、それでも「関心の有無」による差は維持されています。

 素直に考えれば、これは先ほどの男性の状況と対になっているとみなすことができるでしょう。つまり、男性にとっては主体性を発揮する場であるセックスの経験は、(その対象であると統計的には推察される)女性にとっては受動的な場であるということです。自ら選んだものではないために主体性が発揮しにくく、イメージも変化をしにくいというわけです。

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永田夏来

さにはに先生。ニックネームの由来は"SUNNYFUNNY"(パラッパラッパーというゲームのキャラクター)→"さにふぁに"→"さにはに"です。1973年長崎県生まれ。2004年に早稲田大学にて博士(人間科学)を取得後、現職は兵庫教育大学大学院学校教育研究科助教。専門は家族社会学ですが、インターネットや音楽、漫画などのサブカルチャーにも関心を持っています。

twitter:@sunnyfunny99

永田夏来研究室

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