神田「今となっては、分からないですよね。でもそのときは、どうしますか? と詰め寄られて、衝動的に『買います』と言っていました。その時期、全然睡眠時間が取れてなかったので、だいぶ朦朧としていたんでしょうね」
「もう売れちゃいますよ!」は不動産業界では古典的なテクニックらしく、日本テレビで放送中のドラマ『家売るオンナ』の第1話でも、購入を迷っている顧客に、当て馬的な購入希望者を仕込むエピソードが出てきました。とはいえ人気物件だと実際に秒速で売れてしまうことがあるのも事実。不動産購入は、心理戦の面もあります。
神田「私の他にも買いたい人がいるということで、“ローンが通ったもの勝ち”のような状態になったんですね。私は理系の研究所という、わりと堅い勤め先だったのと、貯金がそこそこあったので、ローンの審査基準は満たしていました。内見した日が金曜日で、その日のうちに諸々の書類をファクスしたりして、月曜日には審査が通り、結局私が購入することになったんです」
管理が行き届いているのを感じた
――競り勝ったという感じですね。そこまで急ぐということは、実際に人気の物件だったのかもしれません。結局、購入には後悔してないんですよね。
神田「今は住めていないのですが、それでも手放したくないほど、気に入っています。内見したのは5分程度でしたが、そのときにすごくよい気持ちになったんです。間取りも好みでしたし、マンションが道の突き当たりに面していて車通りも少なく、静か。そしてなにより、ゴミ置き場がめちゃくちゃキレイだったんですね。不動産屋さんと買う、買わないの話をしていたのがゴミ置き場の前で、寝不足で朦朧とした頭でしたが、『このマンションは空気がいいな』と感じました」
中古マンションの管理体制は、エレベーター、掲示板、そしてゴミ置き場が大事なチェックポイントだといいます。エレベーターを新しくするのは費用がかかるので、そこが新しければ適切にお金をかけて修繕していることが分かり、掲示板は注意事項の出し方などで住民の質が分かる。そして、ゴミ置き場は管理人の日々の手入れが行き届いているかどうかが分かるのです。掃除のようなマンションのサービスがしっかりとしていることは、ホテルライクな生活を望む神田さんには特に重要だったのでしょう。