ここまでは、「どちらかといえば、そりゃ、毛がないほうがいいけど……」という前提で書いてきた。でも「毛深かろうが処理してなかろうが、女は女だ!」と強く言い切っちゃったっていい。「女は毛がない」というイメージが浸透しきっているがために、女たちは必死に毛を抜いたり剃ったり高い金を投じたりし、男は「女の子って毛が生えないと思ってたー」と無邪気に鼻をほじり、『男子が幻滅する女子のムダ毛5つ』みたいな「いかがでしたか?」で終わるクソ記事が量産されて、また女は必死に毛を……。こんな無限ループを断ち切るべく、フランスのTwitterユーザーの間で今年7月に流行したのは、「#LesPrincessesOntDesPoils」なるハッシュタグだった。「お嬢様には毛がおあり」。このハッシュタグを作成したのは16歳の女子学生で、体毛をそるのを拒んだところ、学校で嘲笑されたりいじめを受けるなどし、「社会が女性に負い目を感じさせていると思う。体毛に関してはとても大きな社会的な圧力がある」と認識、「すべての女性がかみそりやワックスを避けるべきだとは思わないが、自分の体毛の扱い方を自由に選ぶことが認められるべきだ」と主張している(参照:http://www.afpbb.com/articles/-/3093790)。
私自身は、なんだかんだで『男子が幻滅する女子のムダ毛5つ』みたいな「いかがでしたか?」で終わるクソ記事を含む“男の目”から逃れられずにいる。ここ2年ほど、ふだんは指毛や腕毛を生やしっぱなしにしていても、脚を出す服装のときは脚の毛を剃り、薄着の季節は腕もワキ毛も処理し、深夜まで及ぶデートの予定があれば全身の毛を(産毛まで。産毛とそうでない毛の境目がだんだんわからなくなるため)処理してしまう。ヒザの埋もれ毛処理に困って、除毛クリームを試したこともあった。自分の体毛の扱い方を、私は自らの意思で選んでいると言えるだろうか(もちろん「私は人形になりたい」と渇望して全身の毛をくまなく消滅させる、主体的な除毛・脱毛はありだ。それは自分の体毛の扱い方を、自らのめちゃくちゃ強い意思で選択しているということだから)。
おそらくこれって「体毛」に限らないことなんだろう。見られる性として存在してきた女性は、無数の強烈な視線によりその肉体をああだこうだと論評され値付けされる。その値段に従う義務はなく値札なんて引きちぎってしまえばいいのだけれど。
(hin-nu)
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