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「面倒な女」に対してだけ勃たなくなる現象/中村うさぎ×二村ヒトシ×枡野浩一【1】

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心から愛を信じていたなんて

心から愛を信じていたなんて

 連続対談企画「心から愛を信じていたなんて」、第四回は中村うさぎさん×二村ヒトシさん×枡野浩一さんによるスペシャルトークをお届けします。

 「買い物依存症」「美容整形」「ホスト」「ゲイ」「デリヘル」等々、自らの実経験をもとに赤裸々な人間の欲望を記されてきた作家の中村うさぎさん。最新著書は『あとは死ぬだけ』(太田出版)という衝撃的な題名であり、「私はついに賢者にはなれなかったが、愚者としては生き生きとした人生を歩んだと思う」とこの本で宣言されています。

 二村ヒトシさんは現役最前線のAV監督であると同時に、恋愛やセックスを指南する著書が多くの男女から支持を受けています。今年、これもまた刺激的なタイトルの書籍『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』(湯山玲子さんとの共著/幻冬舎)を発表されました。

 そして歌人・枡野浩一さんの最新小説『愛のことはもう仕方ない』は、「インポ=性的不能」を自認しつつ、十年以上自らの離婚を考え続け、しかし男性との恋愛にも挑戦する……という自身の日常と心象風景をありのまま記した作品です。「私はくじけたままでいたい、頑張りたくない」という枡野さんは、一切の虚飾のなく言葉を放ちます。

 欲望を肯定し、生き抜く、うさぎさん。性と恋が人の心にあける穴と、さらには肉体の穴をも深く探究しつづける、二村さん。インポである自分、あきらめの悪い自分、情けない自分を隠さない枡野さん。こんなそれぞれかなりクセの強い3人が、ノーリミッターで、思う存分語り尽くすスペシャルトーク全7章。

「枡野さんはセックスができない先駆者なんだよ」(中村)

枡野 じゃあ始めましょう。あれ、二村さんは?

中村 二村さんは……ウンコしてます。や、トイレでヌイてるかもしれない。

枡野 そっちのほうがホントかも。清らかな自分になってくるんじゃないですか。

中村 「賢人モード」で。

枡野 「賢人モード」で。

中村 枡野さんはオナニーとかしないの?

枡野 インポは永遠の賢者タイムなんです。

中村 たまにこすってみたりはしないの?

枡野 しますよ。

中村 するんだ。

枡野 この本を書いたあとにちょっと元気になりました。

中村 喜ばしい……ことなのかな。

枡野 でもアダルトビデオとか昔は観てたけど今はもう観ないし。観ても観るだけで、ぼんやりして終わる、みたいな。

中村 興奮もせず?

枡野 懐かしくて観ちゃうみたいな。

中村 「俺が元気だった頃」みたいな?

枡野 相変わらずだな、世界は……と思って。

中村 ほんとに賢者モードだね。俯瞰してますよね、世界を。

枡野 そうですね。

中村 まぁ私もインポみたいなものだからね。

枡野 これ(『あとは死ぬだけ』[注])を拝読しました。面白く。

中村 どうでした?

枡野 これ読むと、僕の本の帯文の(中村うさぎさんの)言葉が真に迫ってきて。うさぎさん自身も世間に期待したりしながら、「自分のことはわかってもらえないのは当たり前だ」という境地に達したんだという想いが……しましたよ。

中村 当たり前だとわかってるんだけど、うっかり期待しちゃうんですよね、人間って。

枡野 そうですね。この本、すごく面白かったけど、書体が怖くないですか?

中村 怖い?

枡野 ちょっとなんか普通の書体よりも力強い書体で。「どうだ!」って迫ってくる感じで。

中村 書体……。そんなことは全然、私、気にしてませんでした。

枡野 巻末にうさぎさんの全著作リストがあって、大変いいと思いました。

中村 この著作リストとか写真とかはページの埋め草なんですよ。あまりにも原稿が少なかったんで。「あと1本書いてください」って言われたんだけど、「書けません!」って。

枡野 え~?

中村 「書けないっちゃあ、書けないんだよ!」って怒って。そしたら最後の一章が“あとがき”になっちゃってるし……。だから、「写真とか著作リストで埋めますね」って。まぁ、穴埋めです。

枡野 でも、ご両親の写真まで載っていて面白かったですよ。

中村 うちの両親の写真なんか面白くないじゃない!(笑)

枡野 お父さんはイケメンですね、ちょっとね。

中村 父さん? う~ん、痩せてたらイケメン……。

枡野 結婚式の写真もあるし。

中村 おっぱい(豊胸前/後)の写真もある。

枡野 ありますね。

中村 あ、二村さんがいらっしゃった!

枡野 いらっしゃいましたね。

中村 二村さんはもうセックスはしないんですか?

二村 は? や、し……してますね。

中村 してるんだ!?

二村 はい。

中村 こんな本(『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』[注])を出しておいて、まだしてるんだ!(笑)

二村 してますね。51歳にもなって。

枡野 日本人はもうセックスをしなくなるかもしれないのに?

二村 俺はする。すべての日本人がしなくなっても、俺とEXILEだけは、しつづける(笑)。

枡野 そうですかぁ~。

中村 枡野さんはね、セックスができない。(セックスレス時代の)先駆者なんだよ。

枡野 そうですね。時代の先を行っちゃいましたね。

中村 二村さんはインポになったことありますか? 今までの人生で。

二村 や、えっとね、それもこの本(『日本人はもう~』)の内容と関わるんですけど、女性が面倒くさい状態なると、インポになってた。支配できなくなるから。

中村 あ~。でも、だいたい面倒くさいんじゃない?

二村 そうですねぇ。で、面倒くさくなる直前までは(セックスを)しつづける…みたいな。って感じで、まぁ、いいことではないですよねえ……。

中村 女性の面倒くささって、二村さんにとってはどういうものですか?

二村 独占欲みたいなものじゃないですかね?

枡野 女性の側からの?

二村 はいはいはい。

枡野 「俺はもっと他の女とヤリたいのに、お前は俺だけなのか?」みたいな?

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枡野浩一

歌人。1968年東京生まれ。小説『ショートソング』(集英社文庫)ほか著書多数。短歌代表作が高校の国語教科書(明治書院)に掲載中。阿佐ヶ谷「枡野書店」店主。二村ヒトシさんとのニコニコ動画番組『男らしくナイト』(第1回は9/24夜)、中村うさぎさんとのトーク企画『ゆさぶりおしゃべり』(第1回は10/7夜)など、最新情報はツイッター【@toiimasunomo 】で。

@toiimasunomo

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