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王子様なんていない。突き進め! 『逃げ恥』が覆した少女漫画の鉄板

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『逃げるは恥だが役に立つ』公式サイトより

『逃げるは恥だが役に立つ』公式サイトより

普段は映画を取り扱う当連載ですが、今回は番外編。現在放送中の『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)を扱いたいと思います。

『逃げ恥』は、さまざまな方向から論じられる作品です。それだけに、この連載でも何か書きたいと思ったものの、どの方面から書けばよいのか、非常に悩んでしまいました。どうしたものかと何度も見ているうちに、主人公のみくりのキャラクターが、これまでのラブ・コメディのヒロインと正反対であることが、この物語に共感するポイントではないかと思えるようになりました。

みくりが、小賢しくて分析屋で、思ったことは言ってしまわないと気が済まなくて、でも恋愛はそれなりにしてきた人物であるのに対して、平匡は、頭もよくて、常識もあるのに、35年間、一度も恋愛したことのない人物です。家事代行の延長で契約結婚をしたこのカップルですが、一緒に暮らすうちに、愛情が芽生え始めます。みくりは恋愛経験もあるため、自分の感情を冷静に分析し、善処することができるのですが、平匡はみくりに芽生えた感情に対して何をすればいいのかがわかりません。

同僚でスマートなイケメンの風見にコンプレックスを抱いている平匡は、みくりには風見のほうがお似合いではないかと考えて拗ねてしまい、自分たちの契約結婚の解消をほのめかしたりもするし、みくりの伯母がプレゼントしてくれた新婚旅行で、ひとつのベッドで夜を明かすことになっても、何もしなかった自分に対して「やりきった」と誇らしげになってしまうくらい恋愛に疎い人物です。

最初は気になりませんが、平匡は、本当に面倒くさい人です(もちろん、そのことがドラマに夢中になってしまう要因でもあります)。それに対してみくりは、そんな平匡にときおりいら立ちながらも、「恋人が作りたいんですけど、今の状況で最適な相手って平匡さんしかいないんです」「周りに気をつかう必要もないし」と、情緒に訴えず、平匡が合理的に判断できる提案をしたり、「お風呂に一緒に入ってもいいですよ」とキツい冗談をお見舞いしたりと、ちょこちょこ平匡に対して爆弾を仕掛けているのです。

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西森路代

ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクショ ン、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、 TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

twitter:@mijiyooon

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