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実写化バービーは“ぽっちゃり”コメディアン 多様な体型を提示するマテル社は「強さ」と「確信」を芽生えさせる

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マテル社公式サイトより

マテル社公式サイトより

 バービー人形の販売元、マテル社は今年1月に「カーヴィー(ぽっちゃり)」「ペティート(短身)」「トール(長身)」と3つの新たな体型のバービーを売り出した。バービーの、あのパーフェクトなプロポーションにほぼ全ての女の子が「わたし、全然バービーみたいじゃないし……」と泣いてきたわけだが、今では白人・黒人・ラティーナ・アジア系と各人種があり、さらにオリジナルも含めて4体型と多様性が増している。やっと多くの女の子が「わたしみたいなバービー」を見つけることができるようになったのだ。

 その上、マテル社はさらなる冒険に打って出た。バービーの実写版映画化にあたり、主役になんと、ぽっちゃり体型の人気コメディアン、エイミー・シューマーを抜擢したのだ。日本ではまだ一部の先駆けメディアでのみ取り上げられているエイミーだが、自身の名を冠したコメディ番組を持ち、ゴールデングローブ賞にノミネート。主演映画では脚本も手掛け、大手企業のCMにも出演。今夏に出版した自伝はベストセラー。結果、年間収入1,700万ドルを叩き出し、フォーブス誌2016年度「最も稼いだコメディアン・ランキング」に女性として初のランクインを果たしている。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。

 そんなエイミーだが、そのぽっちゃり体型ゆえにバービー役が発表されるや、「デブ」「肥満」「エイミーがバービー役なんてホラー映画」など、心ない書き込みがネットに溢れた。だが、そうした誹謗中傷をバッサリ斬り捨てる見事な援護射撃もファンの女性によってなされている。

「体型を理由にエイミーのバービー役をバカにする人間がいることが、エイミーがバービーを演じなければならない理由なのよ」

 そもそも今回の実写化映画は「パーフェクトじゃないバービーが、パーフェクトワールドであるバービーの世界から追い出され、人間界に移り住む」ストーリーらしく、まさにエイミーの真骨頂である。ネット炎上後、エイミー自身も「鏡を見ると自分自身が判る。私は美しくて、強くて、セクシーだと感じる」と書いている。デビュー当時から容姿をとやかく言われることが多く、すっかり打たれ強くなったのだと言う。

 折も折、エイミーは毎年話題となるイタリアのタイヤ・メーカー、ピレリ社の2017年版カレンダーでヌード写真を披露したばかりだった。世界的に著名な写真家、アニー・リーボヴィッツによる静謐なモノクロだ。コーヒーカップを持つ腕に半ば隠れたエイミーの腹部は三段に重なり、従来のヌードモデルたちの体型とはまったく異なる。しかし、だからこそ、エイミーの内なる強さが滲み出た秀逸な一枚だ。

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堂本かおる

ニューヨーク在住のフリーランスライター。米国およびNYのブラックカルチャー、マイノリティ文化、移民、教育、犯罪など社会事情専門。

サイト:http://www.nybct.com/

ブログ:ハーレム・ジャーナル

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バービーからはじまった