日本は今年、統計をとり始めてからついに初めて出生数が100万人を下回ったというニュースがありましたが、これも待機児童問題による〈産み控え〉が深く関わっていそうですね。保育ママに関しては、日本でも数は圧倒的に少ないものの、存在は認知されてきたのではないでしょうか。
柴田「日本も保育ママが都市部でもっと普及すれば、もしかすると預けやすくなり出生率も上昇しやすくなるかもしれませんね」
保活で一番困るのは、最終的にはもちろん「どこにも入れない」ですが、とにかくまとまった情報というものがなく、各々が闇雲に情報をかき集めなくてはならないという問題もあります。役場に問い合わせるのにも質問の仕方のテクニックが必要だったり、担当者によって言うことが違って混乱したり、高確率で入れない園であっても見学に出向いたりと、不毛な労力が多すぎるように思えます。
柴田「そういった不満が一気に高まり、国会前でのデモなどが行われましたよね。全国的な議論を巻き起こすにはインパクトがあっていいし、それによって多少予算を組みやすくはなるでしょうが、しかし国に訴えても、なかなか都市部の状況を改善できないのが現状だと思います。国は都市部に優先的に予算を充てるということはできないわけですので。なので先ほども申し上げたように、都市部の自治体に予算をしっかり作ってもらって、保育所や保育ママなどの柔軟な保育サービスを増やしてもらう方向に、目を向けたほうがよさそうです。今後は市や区などの自治体に向けて、請願などのロビー活動を起こさないと、現状はなかなか変わらないと思っていいでしょう。例えば〈保育コンシェルジュ〉をうちの区にも用意して欲しいなどの訴えでしたら、数年で叶うかもしれません。国に動いてもらおうというのは、地方との温度差も凄すぎますし、本当に難しい問題です。各自治体で工夫してもらうのが一番早いと思いますよ。地域の保活情報ももっと、IT化して〈見える化〉してくれたりするといいんですけどね。メディア記事で、対応の遅い自治体の名前を出し、プレッシャーを与えていくのも有効かもしれません。待機児童の数は発表されているので、ワーストを煽るなどもそのひとつです。これから子どもを産みたい方たちはその記事を使って、〈こんなことが書いてあるけど、どうなのか〉と役所へ問い合わせるのもいいでしょう」
それは、我々ライターが得意とする分野ですので、専門家のお墨付きをいただけるとモチベーションが上がります(笑)。さて来年度の待機児童はどうなるのか、結果が出るのは年明け2月頭。既に各自治体の来年度認可保育園申し込みが締め切られ、ひたすら祈りながら結果を待つしかない今こそが、ロビー活動の準備期間なのかもしれません。当サイトでも煽り記事の準備を進めたいと思いますので、嬉しい通知が届いた方も残念な通知が届いた方も、よりよい保育環境が整う状況を皆で目指し、ぜひともロビー活動にご活用くださいませ。
(ムシモアゼルギリコ)