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「運命の相手」との不倫で、人生から逃げる男と女『アフェア 情事の行方』

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『アフェア ~情事の行方~』公式サイトより

『アフェア ~情事の行方~』公式サイトより

 2人の人間が恋をして結ばれることに必然性はあるのか。米ドラマ『アフェア 情事の行方』は「情事」という意味のタイトル通り、男女の恋愛関係をテーマにした作品と思われがちである。しかしこのドラマの真骨頂は、結ばれる必然性のない異性を「運命の相手」だと思い込もうとするほどに、主人公二人が必死で逃げ出そうとする、家庭などそれぞれの人生の描写にある。犠牲になるのは家庭ではなく、むしろ家庭からの逃避先に選ばれた「恋愛」の方なのだ。

(以下の文章にはネタバレが含まれています。ドラマの本質的な面白さを損ねるものではありませんが気になる方は本編をご覧になってからお読みください。)

 舞台はNYマンハッタン島にほど近い海辺のリゾート地ロングアイランドのモントーク。妻の父母が住む避暑地に、4人の子供を連れて訪れたノアは既婚者のアリソンと出会う。小説を出版する日を夢見ながら高校教師をしているノアが大都市NYで4人の子供を育てられるのは、妻を通じて有名作家の義父から生活費や子供の教育費を援助してもらっているからだ。

 父が家族を捨て、母も学生時代に病気から失っているノアは他に頼るところがない身の上だったが、権威主義で見栄っ張りの義両親に気に入られるよう愛想を売るにはプライドが高すぎた。裕福に育った自分と対称的な、無骨な夫にひかれて結婚したはずの妻のヘレンも、子供の教育方針について夫と両親が対立すると「それはパパとママの言うとおりだと思う」と断言してしまう程度には無神経で、家族の中で孤立しがちなノアを守ってくれることはない。彼女としては「対等に両者を扱っている」点で自分は至極公平な態度をとっているつもりなのである。しかし「本当の」家族の前で「縁戚上の」家族は常に寄る辺がない。人によっては贅沢に聞こえる悩みも、ノアにとってはその状況自体が自分の思うように人生の舵をとれないままならなさ、自分から誇りを奪う理不尽なものだと思えてくる。しかし自分の夢をかなえ同時に家族が満足する生活レベルを維持するには義両親の援助を断ることができない。

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