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「脱毛しないと男子に嫌われちゃう!」と女子を脅すPRに告ぐ。「人間を馬鹿するのもいい加減にしろ」

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ナガコ再始動

ナガコ再始動

 SNSを眺めている時、宣伝目的のプロモーション投稿苛つくことがある。SNSのタイムラインには、こちらの自由選択によってフォローした友人知人、興味のあるヒト・コト・モノにまつわる投稿が主に反映されている。その“好きで選んでいる”トピックス満載のタイムラインの中に、突如「好きでもなければ興味もない」宣伝が紛れ込むと、そこそこの違和感を覚えるものだ。

 特に“女も男も、社会に求められるジェンダーの型を無視し、己の個を誇れ”と主張する当方のタイムラインには、女性の自立、女性蔑視由来の社会問題、男女共同社会参画、ジェンダーギャップにまつわる情報が多く登場する。そこに「女子はこうすれば男子にモテる!」やら「実は男性が嫌いな女性のファッション、メイクはこれだ!」やらと、先に掲げた男のニーズに女を順応させる女性向けPR”出現すともなれば、悪目立ちは免れない。

 無料で利用しているSNSサービスだけに、その運営を支える広告収入枠を排除しろとは言わない。興味のないPR投稿など自分がブロックすればいいだけの話である。ただし、明らかな誇大広告や社会問題に通底する内容については、見過ごすわけにはいかない。が、時に自分が“社会的大問題”と捉える大きな事象が、“個人的着眼点”由来の苦手意識や反発感情を投影した“自分の問題”だったりすることもあるので、文句を言うにもそれなりの精査は必要だ。

 そこで、今回は、私自身が「個人的に嫌いだしむかつく宣伝文句」の筆頭である脱毛サロンのPR事について、「社会的にも悪影響だ」と言及する思考過程を記してみたい。

男子のための「女子の」アンダーヘア

 具体例を挙げる。Twitterの公式プロモーション枠より『【悲報】アンダーヘアのお手入れをダメだしされる女性が続出中』との悲惨なお知らせを放った投稿には、『知らないうちに嫌われるかも?言いたくても言えない男子の本音とは?』とのタイトルを題した記事リンク(motejo-navi.net)が記されていた。

 リンク先には『【質問】アンダーヘアのお手入れってみんなどうしてる?20代女性に質問してみた結果、1位は●●と判明!!』と題されたページが出現「えー!アンダーヘアのお手入れ方法が原因で男性にフラれる!?」との小見出しで始まる記事は、「人にはなかなか聞けない話題の一つである女性のアンダーヘアのお手入れ方法についてですが、まずは男性がどのように思っているか、気になる男性側の意見を集めてみました」(本文引用)と、真っ先に“男性がどのように思っているか”を紹介。後、「人にはなかなか聞けない話題の一つである女性のアンダーヘアのお手入れ方法」についてのアンケートを掲載している。

 ページタイトル上●●と黒点で塗りつぶされている1位は『カミソリや電気シェーバーで剃って整えている』。2位は『何もしていない』。以下、ランキングが掲載される最中、「なんと、世の20代の女性の多くは、男性からは圧倒的にNOの意見が多かった自己処理や何もしていない、ということが分かりました。この事実を男性が知ったらとてもショックを受けてしまうでしょうね!あなたは大丈夫?」(本文引用)と問いかける。

 以下、自己処理のデメリットを記したうえで、いよいよ特定の脱毛サロン『キレイモ』のサービス紹介へと誘導。最終的には『キレイモ』公式Twitterアカウントによる「芸能人やモデルの来店情報」が羅列されている。

 本PRに対する私見を述べたい。まずは、サービスの購買および企業収益のために、「女子はアンダーヘアを整えないと、男子に愛されない!」「もじゃもじゃだと男子に嫌われちゃう!」等、“男性のために存在する女性の身体の是”を前提としたうえで、当の女性に不安感情を植え付ける内容に腹が立つ。

 次に、公式とは異なるアカウントを設け、“釣り文句”を大々的に掲げる一方で企業名や商品名は明記しない宣伝手法が気に入らない。芸能人のダイエット成功談やお薦めの美容法にまつわる記事が、実はサロンや美容商品やサプリメントのPRであった、といった事例はいくらでもある。その内容が気に入らないとして。PR制作プランが対象商品の製造元の発案ではなく、間接的に介入したPR会社の提案だった場合、製造元のみを非難するわけにはいかない。

 よって、「自分の宣伝を、正々堂々、自分でやらない主体性のなさ、超ださい」と思う当方の性格のみを根拠に、気に入らないと記す。PRなのだから、何はなくとも名前くらいは名乗れ、無礼者。あるいは公式アカウントでやれ。と、憤っていたところ、正々堂々、名乗ったうえで“男性のために存在する女性の身体の是”を説く、別の脱毛サロンの公式PRが現れた。

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林永子

1974年、東京都新宿区生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業後、映像制作会社に勤務。日本のMV監督の上映展プロデュースを経て、MVライターとして独立。以降、サロンイベント『スナック永子』主宰、映像作品の上映展、執筆、ストリーミングサイトの設立等を手がける。現在はコラムニストとしても活動中。初エッセイ集『女の解体 Nagako’s self contradiction』(サイゾー)を2016年3月に上梓。

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