さくら事務所にて行われた「家を買い隊」に対する初回のレクチャーの様子を、前回に引き続きお伝えします。前半は住宅の相場に関してお話をうかがいましたが、後半は購入資金についてです。
▼前回:住宅価格はいまが天井!? 2017年、シングル女性がマンション購入を本気で考えたほうがいい理由
たとえば資金を借り入れする際に、自身の年収に対してローンを組む際の適正金額が分かれば、ターゲットにする物件の狙いも定めやすいですよね。一方で、雇用形態によってはローンが借りにくいといわれますが、何か方法はあるのでしょうか? また、頭金はいくらぐらい用意すると理想的なのでしょうか……?
教えてくださるのは、前回と同じくさくら事務所の不動産コンサルタント、田中歩さんです。「家を買い隊」メンバーもそれぞれの状況に引きつけながら、積極的に発言していました。読者の皆さんも、ライフスタイルにあわせた住宅購入資金の計画を立てる際の参考にしてください!
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――まず「家を買い隊」の皆さんひとりひとりが自身にフィットした物件を探せるよう、収入に応じた適正な予算の割り出し方を教えていただきたいです。
田中歩さん(以下田中)「ほとんどの方がローンを組んで家を買うので、いくらの物件が買えるかというのは、銀行からいくら借りるかということにもつながります。まず最初に借り入れの適正金額をお伝えすると、一般的には収入の4倍程度が安心だと言われています。ところがお勤め先にもよりますが、借りようと思えば年収の6~7倍ぐらい借りられてしまうのです」
家を買い隊 よしどめさん「年収600万なら4,200万円が借りられるということですよね?」
借りることが”できる”額と、借りて”いい”額
田中「はい、そのとおりです。ただしこれは借りることが“できる”というだけの話であって、借りて“いい”金額かどうかは別問題ですよ。借りられるだけ借りてしまうと、大変なことになります。私は元々銀行員でしたが、当時貸付する際は今よりも金利が高かったこともあり、お客さまには『年収の4倍ぐらいまでなら、適度に遊びもできて余裕を持って返せるラインだ』とアドバイスしていましたね。ところが限度額いっぱい、年収の7倍ぐらいまで借りてしまう人もなかにはいるんです。そうなると、ローンを払うために働いている状態になってしまいます」
家を買い隊 姉ヶ崎寧々さん「生活を切り詰めて返済しても追いつかないときは、借主であるところのお父さんが死んでくれた方が保険金も入るから助かるよねっていう会話にもなる……と聞いたことがあります」
田中「団体信用生命保険に入っていると、一般に一定の免責期間を過ぎれば自殺であっても借主が亡くなると保険会社から住宅ローンが一括返済されますから、冗談にしてもそんな話が出るようになってしまう。ですから、借りられる金額ではなく、“無理せず返せる金額”を借りることが大切です」
――その上限が、年収の4倍程度になると。
田中「これはひとつの目安です。人によって必要な資金は違いますし、お子さんがいらっしゃるかどうかでも、違います。天寿をまっとうするまでの間の支出を考えるときに必要なのは、住宅資金と老後資金、お子さんがいれば教育資金が、必要な3大資金といわれています。そこをどう割り振るかによって住宅ローンにまわせる金額も変わるのです。また生涯賃金も、何歳まで働くかによって変わりますよね。本来ならファイナンシャルプランナーに頼んで年収やライフスタイルと、将来もらえるはずの退職金なども計算してもらい、住宅費を割り出すのが理想です」