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横浜市教委「いじめとは言えない」発言以上に問題だった、学校のおざなりな対応

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Photo by Victor Björkund from Flickr

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東京電力福島第一原子力発電所の事故で横浜市に自主避難してきた生徒が、同級生から150万円を払わされていた事実について「(おごり・おごられる関係であり)いじめという結論を導くのは難しい」と述べた教育長の発言について書いてみようと思っていたところ、25日に横浜市の林文子市長が謝罪をしたというニュースが流れてきました。

今回の教育長の発言は保護者といじめられていた本人に対して不誠実極まりない発言かつ、一般常識とかけはなれた結論だと言わざるを得ません。ただし、今回のいじめに関する調査は第三者委員会が行ったものであり、その結論を教育委員会の長たる教育長が覆すことはできないという点を忘れてはいけません。

第三者委員会よりも学校と直接的な上下関係を持つ教育委員会の判断が優先されるようなことがあれば、今後、いじめ問題に限らず、市民が第三者委員会を通じて、学校の様々な問題をただすようなこともできなくなってしまいます。市民が学校に直接介入することはできませんから、学校と直接やりとりできる教育委員会が問題を不問にしてしまえば、市民は問題を追求することさえできなくなってしまいます。

このような状況を考えるならば、確かに今回の教育長の発言は不用意なものではありますが、その点だけをむやみに批判してもあまり生産的ではないように思います。

第三者委員会による調査報告書を読んでみると、そもそも今回の件では教育委員会や第三者機関ができる調査に限界があったということがわかります。また、報告書を読んだ印象として、きわめて誠実に調査を行っていたように感じられました。

児童に対するいじめが始まったのは、小学2年生のときに福島から転校してきてすぐでしたが、保護者から調査の申し入れがあったのはいじめ被害にあっていた児童が小学校6年生だった平成27年12月でした。そのときすでに、被害者の児童は長期にわたる不登校状態であったこと、調査が始まってすぐに児童たちが卒業し中学生になってしまったことなど、関係者の記憶のあいまいさなどによって、正確な判断をすることができなかったようです。調査が開始された時期が遅すぎたのです。

保護者がそれまで学校側にそのことを訴えていなかったわけではありません。報告書によると、小学校2年生のときからいじめが始まった時点で、児童も保護者も学校にそのことを訴えていました。しかしその都度、担任教師が対応する程度で、具体的な対策が取られることはありませんでした。しかも、学校が行なった聞き込みによれば、2、3年時の担任は、当該児童がいじめられていたという認識はなかったようです。

いじめ被害者である児童が最初に不登校となったのは小学校3年生のときでした。5年生の最初の時期も学校に行けなかったようです。その後、5年生の途中から学校に行くようになった頃に、この「おごる」行為が起こったのです。

また、平成26年の段階で、学校は当該児童が同級生に「おごっている」ということを把握しており、保護者からの相談も受けていました。副校長が家庭まで出向いたり、スクールカウンセラーから学校に連絡をとったり、いじめ加害者とされる同級生ら10名への聞き込みなども行なっていました。平成26年の9月に、被害児童の保護者が警察に相談し、11月くらいから弁護士を立てた対応を始めました。結局、保護者側が「本気の対応」を見せるまで、学校側は家庭訪問くらいしかしていなかったのです。

平成27年1月になってようやく学校カウンセラーと学校、人権教育・児童生徒課などの関係機関との連携が始まり、その年の10月になって保護者が教育委員会に相談するに至りました。

この報告書の中では、150万円の件についてのいじめは認定されていませんが、その他の部分では認定されているものもあります。被害児童が金銭を「おごる」ことになったのは、日常的に行われている「プロレスごっこ」などの暴力行為や物を隠されたりといういじめから逃れるためでした。事実、「おごる」行為によって、そうした暴力行為は止まったようです。

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古谷有希子

ジョージメイソン大学社会学研究科 博士課程。大学院修了後、ビジネスコーチとして日本でマネジメントコンサルティングに従事したのち、渡米。公共政策大学院、シンクタンクでのインターンなどを経て、現在は日本・アメリカで高校生・若者の就職問題の研究に従事する傍ら、NPOへのアドバイザリーも行う。社会政策、教育政策、教育のグローバリゼーションを専門とする。

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