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日本の女子教育の大きな足かせ 日本の女性教員比率は先進国で最も低い

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 本連載ではこれまで、日本が抱える様々な女子教育の課題に対して、女子向けの奨学金慣習の壁を取り除くための対話という解決策を提示してきました。これらに共通するのは、教育の需要側に対する介入という点です。今回は、教育の供給側に対する介入策、すなわち女子教育の環境改善についてお話しようと思います。

 女子教育の環境は、主にソフト面とハード面に分けることができます。前者には教育内容(科目・カリキュラム・教授法など)や教員などが、後者には学校建築などが該当します。教育内容と女子教育の関係は、かつて日本で「技術は男子、家庭科は女子」と科目がわけられていたことを思い出していただけると分かりやすいかもしれません。また、科目選択だけでなくカリキュラムにも改善されるべきものが存在しています。例えば現在私が関わっているプロジェクトだと、生理中の女子が男子にからかわれるために学校に来られなくなるという現象を改善するため、生理について男子にも学んでもらう、といったものがあります。

 ハード面については、途上国での女子教育推進プロジェクトの場合、女子トイレの整備の他、女子寮の建築、学校での安全確保(学校へのフェンスの設置やレイプやイジメの場所となりうる教育現場での物理的な死角の除去)、通学路の安全確保などが実施されます。

 日本にも教育内容やハード面で改善すべき点はありますが、他の先進諸国と比べて顕著な問題は女子教育の環境に関するものです。特に中等教育以降での女性教員比率の低さは女子教育改善の大きな足かせになっていると考えられます。女性教員は女子教育推進の主要な担い手の1人だと考えられています、なぜなら女性教員は思春期以降の女子学生の安全面や女性特有の現象に対して格段の配慮が出来るだけでなく、女子学生のロールモデルになりうる存在だからです。

 ということで今回は、日本の女性教員の比率が他の先進諸国と比べてどのようになっているのかを確かめたいと思います。以下では、世界銀行の世界開発指標のデータを用いて国際比較をしますが、日本のデータは欠損していたので平成28年度の文部科学省・学校基本調査のデータを用いています。

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畠山勝太

ミシガン州立大学博士課程在籍、専攻は教育政策・教育経済学。ネパールの教育支援をするNPO法人サルタックの理事も務める。2008年に世界銀行へ入行し、人的資本分野のデータ整備とジェンダー制度政策分析に従事。2011年に国連児童基金へ転職、ジンバブエ事務所・本部(NY)・マラウイ事務所で勤務し、教育政策・計画・調査・統計分野の支援に携わった。東京大学教育学部・神戸大学国際協力研究科(経済学修士)卒、1985年岐阜県生まれ。

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