ベラ:はい。そこは……築45年だけあって、正直かなり古さを感じました。でも廊下や階段の壁がキレイに塗り直されていたので、清潔感はありましたよ。管理人さんが通いで来ているらしく、掃除なども行き届いていました。だから古いこと自体はマイナスではないのですが、ひとつ気になったところがあって。
――何ですか?
ベラ:マンションの1階が駐車場になっているんですが、壁がなく柱だけで支えられているんですね。いわゆるピロティですが、こういう建物は耐震性に欠けると聞いたことがあるんです。
――なるほど。1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物が新耐震基準に準拠した建物だとすると、築45年のこのマンションは、耐震性については確証がないですよね。
内見後にバーチャル診断してもらおう!
ベラ:1981年以前でも、しっかりとした建物はあるでしょう。でも、このマンションはどうなのだろうって……。そこは、後で相談するさくら事務所の不動産コンサルタントの方に聞いてみたいですね。物件を案内してくれた仲介業者によると、頭金ゼロでこの物件を買うとしたら、35年返済で組んだローンと管理費、修繕積立金をあわせて月々10万円弱ぐらいかかるらしいんです。一方で賃貸に出すとしたら月々13万円ぐらいで貸せるという話でした。賃貸に出しつつ家賃でローンを返して、プラス月3万円の儲けが出る状態。それが得なのか損になるのかは、建物が何年維持されるかにかかっていますから。
マンションを買うということは、それが壊れたときの修繕の義務も負うということ。そこに将来いくら費用がかかってくるかは未知数ですから、築古の物件を買うときは、将来の修繕費や最終的な建替え費用がリスクになります。ましてや日本は地震国。マンションを買う人が耐震性を気にするのは当然でしょう。
2011年の東日本大震災の後、政府は「個人向けの私的整理ガイドライン」を策定しました。それにより、地震などの天災により建て替えなどを余儀なくされた場合、すでに組んでいる住宅ローンが減額されたり免除されたりする余地が出てきたのです。
ですから、不測の事態によってマンションの購入ローンと修繕ローンを背負う“二重ローン問題”には、将来は一定の歯止めがかけられるかもしれません。とはいえ、お金の問題以前に地震でマンションが壊れて、命にかかわるようなことがあったら嫌ですよね(参照:http://www.kgl.or.jp/)。
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マンションの立地や部屋の内装に関しては好印象だったベラさん。しかし建物のつくり自体に対する不安が残り、さくら事務所の「バーチャル診断」を受ける際に相談したいとのことでした。次回はその様子をお届けします。
■さくら事務所の「バーチャル診断」とは?
不動産広告などの資料や、相談者が内見に行ったときに撮影してきた写真や動画などの素材をもとに、さくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)が建物の疑問に答えるサービス。内見前にチラシなどの情報をもとに相談したり、実際の現地からお繋ぎして画像をもとにアドバイスをもらうことも可能。内見前後、いくつもの候補物件から物件を絞り込みたいときに便利なサービスです。https://www.sakurajimusyo.com/expert/virtual.php
(蜂谷智子)