素敵なお母さんになるための育児、じゃない
先日、ファミリーサポート(区に認可された介助員に報酬を支払い、子供の世話をしてもらうサービス)を利用し、我が家に介助員さんに来てもらって息子を2時間程度預かってもらった。
介助員さんはKさんという60代ぐらいの女性だった。お手伝いに来ておいてもらって何だが、私がKさんに抱いた印象は「現代の姑」。江波杏子や泉ピン子のような「姑の定番」といった感じではなく、柔らかな距離感は保ちつつ要所要所でチクチクと突っ込んでくる様子が、まさに私の思う現代の姑だった。
母親の考えを直接的に非難はしないが、「どうなのかねぇ……」と言いたげな感じ。たとえば、ミルクの飲ませ方だ。
我が家では生後5カ月ぐらいから、息子に哺乳瓶を渡して自力でミルクを飲ませている。手が大きいのか、3カ月ごろから自分で哺乳瓶を持って飲むようになったので、その間にオムツを替えてしまおうというやり方を実施してきたのだ(通常時のオムツ替えは暴れる→ギャン泣きで大変)。
これを知ったKさんは「お母さんの手で飲ませてあげたら~? かわいそうよ^^;」と苦笑いしながら言った。「手抜き」や「放置」と同等のことだと捉えたのだろうが、こっちは合理的なやり方としてそれを選択しているまでなので、「かわいそう」と言われても困る。
むしろ普段抱っこ(ましてや横抱きなんて)を嫌がる息子だから、たまには腕の中で私がミルクを飲ませながらクッタリしている息子を抱きたいと思っても、それは難しい。哺乳瓶を見るや否やそちらに向かって全神経ロックオン、手を伸ばし、すごい力で手繰り寄せる。私が哺乳瓶を持とうとしても強い力で離さず、一人でグイグイ飲む。まぁ、普段はこのおかげで、オムツ替えもできるし、様子を見ながら少し家事も進められるし、私も助かっているのだが。
それらを説明してもKさんは納得いかない様子。【赤ちゃんを抱いて愛おしい目で子を見守りながら、ミルクを飲ませる】のがデフォルトイメージなのかもしれないが、それに当てはまらなくたって、これはこれでアリなんじゃないだろうか。
もうひとつ、その日、Kさんは私の帰宅30分前から息子を寝かしつけようと抱っこをしていたそうだが、やはり息子は寝なかった。事前打ち合わせの際に「抱っこではめったに寝ない」ということは伝えてあった。寝なかったことの報告を受けた時「いつものことなんですよね~。逆に放っといて思いきり遊ばせたほうが機嫌よくコテンと寝るんですよ(笑)」と話すと、たちまちKさんの表情が曇った。
「最近のお母さんはみんなそういうこと言うのよねぇ……」と溜息交じりに言うので、Kさんは“心配”していたというか、「最近のお母さんの子育て」を憂えているのだろう。
「1時間抱っこしても逆に泣いちゃって寝なかったのに、自由に遊ばせると10分ぐらいですんなり寝たんですよ」と言うと、Kさんは食い気味に「お母さんの根気が足りないのよ~。赤ちゃんは1時間でも2時間でも付き合って抱っこしてあげれば寝るから!」と返してきたので、きょとんとしてしまった。
他の方法で数10分で寝るのに、敢えて1時間も2時間も抱っこって……まるで何かの修行のようだ。