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私は『ママ友』の必要性を全く感じていない

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ママ友は他の友人とどう違うのか?

私の母にも昔『ママ友』がいたそうだ。それこそ『ママ友』なんて固有名詞は存在しなかった時代だけど、母曰く「ママ友を作る一番の良い機会は母親学級」だとのこと。出産前、妊娠中に産院で開かれるアレである。お腹が大きい者同士、ほぼ同じ頃に産まれるであろう子供のことを語り合い、その楽しみや不安を共有するのは心強く、楽しかったそうだ。

無事出産を終えて入院している間にも、出産日が前後2~3日の、母親学級で知り合った『ママ友』と出産の喜びを共有し、これから母親としてスタートを切る者同士、絆はよりいっそう深まり、退院後も手紙をやり取りしたらしい。

確かに出産や育児は不安の連続だし、そういう中で同じ頃に初めて母親になった者同士話を聞いたり愚痴ったりできるのはとても素敵なことだ。ほぼ同時期に出産し近隣在住となるとそれからの境遇も似たようなものになるし、会えないのも連絡がなかなか取れないのもお互い違和感がないわけで、最初から同じ温度で関係性を維持できるとしたら魅力的。ただ温度やスタンスが途中から変わってしまうと、友人関係すら変化してしまうことだってないとは言えない。それに育児のこだわりが強い女性と、そうでもない女性とだと、話が噛み合わなくてこじれたりもする。

本当は、妊娠する前の段階で仲良くしていた気の合う友人たちと、産後も同じように仲良く交流していければ良いのかもしれない。でも片方が母親になれば「付き合い方」が変わるのは必然だ。長時間外出したり夜間飲みに行ったりできなくなるし、子連れで外食するにしても大人同士の会話に集中することは不可能だ。メールでの連絡だってなかなかスムーズに返せなくなったりして、疎遠になってしまうことはよくあるだろう。

私にも、独身時代からとても仲良くしていた友人Mがいる。Mとは職場が一緒で、毎日のように食事したり飲んだりしていたし、月に数回休みを合わせては買い物したり温泉に行ったりした。私が結婚し、退職、妊娠してからもスポーツ観戦したり、いよいよ臨月に近づくと私の身体を案じて我が家の近くまでしょっちゅう来てくれていたが、いざ子供が産まれると簡単に外出ができなくなり、連絡もスムーズに返せなくなり、以前のような関わりを持つ時間は激減した。

大切な友人だけに申し訳ない思いでいっぱいだったし、関係性自体が変わっていくことへの不安もあった。ただ、幸いなことに「私は何も変わらないから」とMはいつも言ってくれ、連絡頻度や会う回数は劇的に減ったものの、弱さや汚い部分さえ晒し合えるMとの関係性は変わらずにいられている。

Mとは当人同士(私とM)が元々心を許せる「友人」だから、共通する環境が何一つなくなっても繋がっていたいと思うわけだが、そういう“産む前からの友達”って、『ママ友』の定義とはまるで逆だ。

『ママ友』は、同じ境遇、志にある立場だからこそ繋がる。その人の元々の考え方や性質、趣味嗜好は二の次。もちろん、子どもを介さない友人関係でも趣味など「一つのこと」を通じて仲良くなる間柄はあるだろう。「飲み友達」「スノボ友達」「ゲーム友達」「麻雀友達」etc……普通に人間関係を構築できる人なら、誰しもが携帯に一人は「○○友達」なる友人のアドレスが存在するんじゃないだろうか。

じゃあ『ママ友』も、それらと同じように子どもという「一つのこと」を通じて仲良くなり、子ども関係の用事でだけ顔を合わせる間柄でいられるかというと、どうもそうではなく、ややこしいことも多々ありそうだと、実感している。何がややこしいって、そこではあくまで「ママ」としての自分、でいなきゃならなそうなところだ。

母親学級で話したけれど…

育児は、大変な労力で長い年数継続していかねばならない大仕事だから、そこを共有して分かち合ったり励まし合ったりできる友人がいればそれはうれしいことだと思う。私も妊娠中、産院での母親学級に一度だけ参加した際、今抱えている不安を共有可能な友人ができるかもしれないとほんの少しだけ期待していた。

私が参加した母親学級では、テーブルごとに6~8人程度の妊婦が座ってグループになり、産院側から出されるクイズの回答を話し合ったり、ディスカッションするという形式を取っていたのだが、見ず知らずの他人同士がこのように話し合ったりする一般的なセミナーなどとは違い、最初から距離感が「柔らかく、近い」という印象を受けた。誰しもが「ウェルカム」な雰囲気を醸し出し、その上でほぼ最初から予定日や性別などを聞きあったり、体重が増えただのお腹の張りがどうだの親しげに話し合っていた。不安を感じている時だからこそ群れを成したくなるといったような、人間の本能なのだろうか。

1時間半にも及ぶ母親学級の最後には、次の参加日の約束をしたりLINEの交換をしている人もちらほら見受けられた。私はと言えば、そんな中で友人を作ろうにも、その人の性質もわからないような段階ではその場限りの会話を交わすことが精いっぱいで、妊娠していようが、やはり「デフォルト通り」の私だったのだ。

出産してからも、他のお母さん(他人)と出会う機会は何度かあったが、やはり自然にできるのは挨拶程度で、連絡先を交換するとか、ましてや友達になるなどハードルが高すぎる。「ママになる」からといっていきなり社交的にはなれなかった。慎重に相手を見極めようとしてしまう。

しかし前出のUさんは、元々社交性の高い方ではないというのに、さんざん公園の下見をして更には一芝居打ってまで『ママ友』を得ようとしていた。私もそういう“努力”を講じたほうが良いのだろうか。でも私には『ママ友』なる関係性が、そんなにも価値の高いものなのかどうか、未だに理解できずにいる。

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小出 愛

1981年生まれ、学生時代から10年以上スポーツ一本、卒業後はスポーツトレーナーとして第一線を志すも、いろいろあってパチ屋店員に。そこで旦那と出会い、結婚、2016年に第一子出産。プロレスは知らないけど猪木が好き。ママ友ヒエラルキーには入りません。

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母の友 2017年5月号 特集「ママ友 子どもを通じた人間関係は難しい?」