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「彼と別れたくない」と手を尽くしても、きっと彼の心は戻らない

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aichi_wezzy

わたしたちは別れ方についてもよく知らないね

付き合っている相手から、別れを告げられたら。それも何の予兆もなく、ある日突然別れを切り出されれば、普通は動揺し、取り乱すだろう。感情的になって「なんでっ!?」と声を荒げてしまうことだってあるだろう。自分は絶対別れたくないのに、一体どうすればいいの? 何とか状況を打破する方法を見つけたい。となれば、現代人の多くは「とりあえず」手っ取り早くググる。突然別れを告げられるなんて天変地異みたいなものだから、冷静沈着ではいられない。心を静めるためにも、まずググってみるのだ。

別れ方って難しい。恋愛のはじめ方、相手を自分に振り向かせる方法は何通りもあってアドバイス群も豊富なのに、別れの切り出し方や相手を納得させる方法、別れを告げられたときの気持ちの切り替え方についてはそれよりずっと少ないものである。出会いあれば別れあり、なのに、情報量としては「出会い80:別れ20」くらいの割合だ。

だから、次の記事はそんな失恋渦中の人が見出しを見て思わずクリックしたくなるであろうと思った。『「あの人と別れたくない!でもどうすれば……」男の“別れの決意”を覆す方法とは?』<恋学~Koi-Gaku~>。「オトナの女ならここは冷静に切り返す必要があるだろう」とのことで“男に別れを切り出されたときの対処法”が4つ挙げられている。しかしいずれも、男側が別れる意思をがっちり固めて別れを切り出しているのであれば、正直あまり効果ないのでは? と思われるような、実に辟易するような対処法だ。

1)カレの仕事のことや身体のことを気づかう

2)好きな気持ちは変わらないことを伝える

3)「そんなこと言わせてごめんね」と謝る

4)「最後にもう一度だけ会ってほしい」とお願いする

どれも、「今さら遅いよ」と私は思うのだ。

<1、カレの仕事のことや身体のことを気づかう>。心当たりなく別れを告げられたからといって「え、なんで?」「どうして?」と問いただしたりなんかすれば、あなたは“自分のことしか考えないオンナ”になって、彼はますます別れたくなるのだと忠告し、だったらまずは彼の申し出を真摯に受け止めて(別れを告げられた自分の)<怒りや悲しみより、彼の気持ちをひとまず優先しよう>と進言。自分の混乱を封じ込めて、殊勝な女の演技をしろとアドバイスを送っている。じゃ、何を言えばいいのかというと「わたしと別れたらあなたはラクになるのかな……」とか「そっか……仕方ないよね。仕事忙しくてたいへんだよね。あまりムリしないでね」とか、彼の仕事への理解や彼の心や体を心配するような言葉。男の気持ちが揺らぐのはオンナの愛の押し売りではなく、自分への気づかいや思いやりなのだと強調しているが、これで気持ちが揺らぐんだったら実際のところ、彼の「別れの意思」はそもそも気まぐれのようなものだったんじゃないのか。しかも、突然別れを告げられて「なんで?」と聞くな、って、まず理由を聞かなきゃ納得も出来ないのだし、別れを告げる側には相手に説明する義務があるだろう。

<2、好きな気持ちは変わらないことを伝える>は、はっきり言って、「もう別れよう」と告げた相手から言われたら『重い』の一言ではないだろうか。「こんなに誰かを好きになることはもうないいかな」とか「しばらく思っててもいい?私が勝手に好きでいるだけだから……」としんみり言ってみよう、とのこと。その根拠は、男がいい年齢の女に別れを告げるのは「この女は俺がいなくても大丈夫だろう」と心のどこかで感じている……から。だからこそ男性に“別れることへの罪悪感”を抱いてもらうのがよいのだという。いやいや果たして、それって都合のいいセフレキープの展開に転がりやしないか? また、男性は傲慢な女と関わるのはごめんだが“謙虚な女”には耳を貸すため、しんみりと「忘れられそうにない」と言えば心に響くと勧められているが、別れたい理由が「傲慢な彼女にうんざり」だったりした場合、「もうお前の本性は知っている」状態なわけだから響くも何もなさそうだ。また、罪悪感と愛情は違う。

<3、「そんなこと言わせてごめんね」と謝る>は、女に別れを告げる時の男はビビっているのが普通で、修羅場になったらどうしようという不安でいっぱい。だから、別れを告げた男性に“ねぎらいの言葉”がかけたら、男性の意表をつくことになり、あなたに敬意を抱くよ、と説いている。いや、恐れていた修羅場が起こらずすんなりと別れてくれそうでよかったと、男が安堵して開放感を感じて終わりになることも十分予想されると思うが。しかも、記事ではこの後、別れを切り出すのは散々悩んで苦しんだ結果なのだ、彼をそんなに悩ませたことに謝罪しろ、“私のせいで”いろいろ考えさせて申し訳なかった……という姿勢を見せろとあって、ドン引きした。そもそも、別れ話が持ち上がっているカップルが100組あれば、100通りの事情があり、恋愛をどう捉えどれだけ悩むかだって十人十色、千差万別であろう。散々悩んで別れを切り出す者もいれば、たいして悩まず別れを切り出す者だっているだろうし、他の人に心変わりしたケースもあろう。別れ話の事情は当事者たちにしかわからず、かつ当事者同士の認識にもズレがあるのが常だ。

<4、「最後にもう一度だけ会ってほしい」とお願いする>では、流されたり勢いで別れるのはダメ、と冷静に考える時間を設けることを提案。それはいいが、彼が電話・メール・LINEで別れ話を切り出しても「最後にもう一度だけ会ってほしい」「きちんと“さよなら”したい」「『いままでありがとう』って笑顔で言わせて」と穏やかにお願いしよう、さらに「最後に一日だけわたしに時間を頂戴」と頼んで、思い出の場所を訪ねて2人の歴史を辿ってみるラストデートをしろという。彼を心変わりさせるのは<メールや電話ではなく直接会うのが一番>で、<“男の別れの決意”を揺るがすのは何といっても“女の健気さ”>と強調。うまくいけば彼も付き合いたての頃や幸せだった頃を思い出して、別れを撤回する可能性もあるとポジティブな主張をしているが、その可能性は無論低いであろう。男がとにかく早く別れたくてたまらない心境にあれば、思い出の地巡りなど苦痛な時間にほかならず、ますます彼の気持ちを遠ざける結果を招くだろう。それこそ別れの前の悪あがき、パーティーだと思って楽しむのなら話は別だが。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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