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恐怖・不快・感触…男性器つきの座席が伝えた強いメッセージ

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「UNウィメン」HPより

  メキシコの首都・メキシコシティの電車車両にひとつ設置されているのは、性器丸出しの男性の裸体を象った座席“ペニス付きシート”。これに対する乗客の反応(映像)が「Experimento Asiento(実験座席)」というタイトルで3月20日に公開され、2週間で170万回以上の再生数を記録し話題になっています。

ペニス付きの座席の座り心地って……

 隣にある“ペニス付きシート”を怪訝な顔で凝視する女性、友人同士でふざけて座らせようとする若者たち、遠くから空いてる座席を見つけて勢いよく座ったものの、お尻に感じる異物に飛び上がる男性、「お尻になにか敷けば大丈夫だろう」と座席とお尻の間にジャケットを挟むも違和感を感じ、座ることを諦める男性など。キツい下ネタのドッキリなのかと思ってしまいそうですが、この座席の足元にはメッセージが貼り付けてられています。<このシートは居心地悪いものですが、女性が毎日電車で経験している性的暴力とは比べ物になりません>

電車の座席にペニスをつけるという実験

 実はこれ、“ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関”「UNウィメン」とメキシコシティが連携し、“性的暴力を防止するため”今年1月の1カ月間実施していたキャンペーン。

※情報サービス企業トムソン・ロイター財団が16カ国で調査したランキング女性にとってもっとも危険な公共交通機関のある都市」で、第1位のコロンビアの首都ボゴタに続いて、第2位となったのが、メキシコシティ。

 なんて迫力のあるキャンペーンなんでしょう! 正面から「性犯罪・性暴力反対!」と掲げ訴えることも、もちろんとても大事なことだし意義のあることだと思います。ただ、この映像を観たとき……被害者が感じる「恐怖」、不快な「感触」を身を持って経験することは、とても大きな発想の転換を促すのではないか、と強く感じました。

日本でも活動しているプロジェクト

 ちなみに「もっとも危険な公共交通機関」で、日本の首都・東京は15位(16カ国中)。治安が良く“安全”なイメージの強い国ではあるのでしょう。しかし痴漢被害に泣き寝入りしている人々が全員、その被害を申告したらランキングはどうなるか? コロンビアやメキシコを上回る可能性すらあると思いませんか。

 もちろん日本でも、痴漢加害が相次ぐ現状を変えようと、様々な団体が努力を重ねています。昨年10月、4つの支援団体で結成された「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」は、性暴力に対する見方を変え、みんなが前向きに生きられる社会を作るためのキャンペーン「Believe~わたしは知ってる~」を立ち上げています。109年ぶりの刑法改正の実現や、自身の体と性における意思を尊重する法律を目指し、今年の6月までに明治時代から変わらない『刑法性犯罪』を改正し、暴行脅迫要件を無くす」「社会の意識に働きかけ、性と性暴力を取り巻くカルチャーを変える」と標榜。少しずつであっても、社会の意識を変えていくしかないのです。

 個人で何か行動を起こすことはなかなか勇気が要りますが、このように団体が実施しているキャンペーンやイベントに参加すれば何か変わるかもしれない。安心して交通機関を利用していけるものにしていきたいですね。

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