姉ケ崎:なるほど、そこで売主である私に何の問い合わせも来ていないのに、担当者が「商談中だから紹介できない」って答えたら……その媒介担当者は怪しいっていうことですね。
田中:売主も知識が豊富になってきているので、そういう牽制球を投げる方もいらっしゃいます。
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不動産売却の際の媒介契約の“3つの種類”について解説してもらいました。不動産を売買する業者にとって、物件が“売る”媒介もしくは“買う”仲介のどちらか一方のみの取り扱いか、もしくは“売る”“買う”のどちらも一挙に取り扱うかでは、その利益に大きな違いがあります。ですから、業者とつき合うときは、基本的に業者は「両方とも自社で扱いたがっているもの」だと考えておくとよいでしょう。
しかし売主が広く購入者を募るためには、レインズを通して多くの不動産の業者に物件の存在を知ってもらい、買い手に情報を行き渡らせることが必要です。万が一にも業者の一存で、情報をシャットアウトされたら嫌ですよね。「担当者が信用できないかも」と思ったら、今回紹介した問い合わせの裏ワザを使ってみるのもよいかもしれません。
また実は買う側にとっても、業者が薦めてくる物件が売る・買う両方を自社で扱っている物件か否かは、気にした方がよいポイントです。利益率の高い物件の方を熱心に薦められる可能性がありますが、業者の事情に振り回されず、本当によい物件を見極めたいものです。
(蜂谷智子)