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相次ぐ線路飛び降り逃走 逮捕者のひとり『痴漢冤罪ではなかった』男が公判で述べた『飛び降りた理由』

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Photo by Toshiyuki IMAI from Flickr

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 この春に頻発していた“痴漢を疑われて線路に飛び降り逃走”事案。痴漢冤罪と絡めて報じることへの不可解を記事にしたが、このうちのひとりが、東京都の迷惑防止条例違反で逮捕起訴されていた。今回はそれをリポートしたい。法廷では、冤罪ではなく実際に痴漢行為に及んでいたこと、過去にも同様の行為に及んでいたことが明らかになった。

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 425日に痴漢であるとして女性と口論になり、板橋駅で線路に飛び降り逃走した福島覚被告(41)は、男に取り押さえられそうになった際、コートを脱ぎ捨てているが、その中に預金通帳などが残されていた。(http://digital.asahi.com/articles/ASK4T35CZK4TUTIL00B.html

 6810時から東京地裁512号法廷(林直弘裁判官)にて開かれた初公判。罪名は「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反」、いわゆる迷惑防止条例違反である。鉄道法違反での起訴はなされていない。福島被告は勾留されており、奥のドアから松葉杖をつきながら法廷に現れた。右足を痛めている。人定質問で職業を問われ「仕事は探している途中です」と答えた。

 起訴状によれば福島被告は今年425日、836分ごろから838分ごろまで、JR十条駅から板橋駅に向かう埼京線の車内において、被害者(当時20)に対し、そのスカートの上から臀部を両手で撫でたという。

 飛び降り逃走の記事によれば、痴漢を指摘した被害者との間で福島被告は口論になったという。また「痴漢に疑われそうになったら逃げる」ことは冤罪を予防するために致し方ないという風潮がある。福島被告も、痴漢をしていないのに疑われたので逃走していたのではないか? ゆえに罪状認否で否認するのではないか、と思われたが「起訴状に違うところはないですか」と裁判官に問われ、被告は「いや、正しいです」とあっさり痴漢を認めた。

 冒頭陳述や証拠による事件の詳細は以下のとおり。

 福島被告は高校卒業後、職を転々としており、犯行当時は生活保護を受給し、川口市のアパートに単身居住していた。婚姻歴はない。電車で女性に着衣の上から体を触る同種の罰金前科2件を含み、前科は4件ある。平成18年から、電車に乗車中の女性への痴漢行為に興味を持つようになった。犯行当日、競艇に行くために電車に乗り、混雑していた車内で被害者の背後に密着し、少なくとも20秒間、スカートの上から両手で撫でたところ、被害者に振り向かれて右手を掴まれ、板橋駅で降車させられた。口論の途中、居合わせた別の男性が福島被告のコートをつかんだが、福島被告はコートを脱ぎ捨て線路に飛び降り逃走した。これにより埼京線に遅延や運休などが発生している。

「十条を過ぎた頃、両手でお尻を包み込むように触られて、ゆっくりこするようになった。犯人の手を右手でしっかりつかんだまま『触ったでしょ』というと、犯人は縦に首を振った。(中略)そのままホームに降りると犯人は『離せ、やってねえよ』とシラを切り始めた。別の人が来て犯人をつかんでくれたので私は安心してその後は意識が朦朧として動けなくなった」(被害者の調書)

「女の人は過呼吸のようなハアハアとした呼吸をしていて、しゃがみこんで苦しそうにしていた」(犯人逃走前後の被害者の様子を語る目撃者の調書)

「平成18年ごろから痴漢に興味を持つようになり、平成18年、20年に電車で女性のお尻を触り逮捕されたことがある。

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高橋ユキ

傍聴人・フリーライター。2005年に傍聴仲間と「霞っ子クラブ」を結成(現在は解散)。著作に「木嶋佳苗 危険な愛の奥義」(高橋ユキ/徳間書店)など。好きな食べ物は氷。

twitter:@tk84yuki

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