社会

「2分の1成人式」で感謝の手紙を読まれたら、私は親として嬉しがるのだろうか

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Photo by DFID - UK Department for from Flickr

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2分の1成人式」という小学校行事がある。「10歳」の節目をお祝いして、4年生の3学期にやることが多いらしい。文部科学省の学習指導要領では特に定められておらず、だから2分の1成人式をやる・やらないは各校の裁量で決められ、その内容も各校で異なる。行事内容として代表的なのは、2分の1成人式証書授与、合唱、作文(将来の夢、10歳の決意など)、未来の自分への手紙、生い立ちの振り返り(小さい頃の写真、誕生時の様子、名前の由来など、年表作ったり)、子どもから親への(感謝の)手紙、親から子どもへの手紙……といったものだ。そして、近年は「やる」学校が増えてきているという。

問題は、2分の1成人式で何をやるか、だ。2分の1成人式が盛んになると同時に、その在り方によっては児童や保護者に本来与えるべきでない負担や苦痛を与えかねないとして疑問視する声が強まっている。証書授与や合唱は、他の行事でもやっていることで、将来の夢や10歳の決意を書いて発表するのも「本音を言わなければ怒られるワケではない」と気付きさえすればスルーできるだろう。

ただやはり、生い立ちの振り返りや、親への手紙、子どもへの手紙といった保護者の協力・参加が前提のセレモニーを盛り込むことの是非は、各校の慎重な審議が必要だ。その理由は主に、(1)児童の家庭環境を配慮していない (2)プライバシー侵害となりかねない (3)「親に感謝する」という価値観を強制している といったもので、結果的に児童や保護者に苦痛を与えかねないからである。

この行事は、温かな家庭で両親に愛されて育くまれた子供たちが、親への感謝とささやかな自立心を抱くためのイベントだと思う。それはとっても幸福なことだろう。感激して涙を流す親たちもいるそうで、教員も胸がいっぱいになるという。しかし子供が安らぎや温かさを感じられない家庭、虐待家庭、まだ馴染んでいないステップファミリー、祖父母や親戚、里親が養育している家庭、児童養護施設の子供などなど、“例外”の児童たちが複雑な感情を抱く機会になるだろうことは、想像に難くない。ただ、逆にまだ学校側には見えていなかったが現在進行形で何かしらの家庭内トラブルを抱えている子(クラスに1人もいないとは考えにくい)がSOSを発する機会として利用することが出来れば、メリット0とも言えないが……それも学校側、教員側にそれを受け止める土壌があれば、だ。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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