「不倫される妻の“顔”には特徴がある」
『週刊ポスト』(2017年6月23日号)
仲間由紀恵の夫である俳優・田中哲司が不倫する模様を「フライデー」されたが、『週刊現代』(2017年6月17日号)の見出しには「しみじみ思う 妻が仲間由紀恵でも男は浮気するもの」とある。この手の記事を見かける度に、「男」という超壮大な括りを身勝手に投じるのは止めてくれ、と男として思うが、実際に雑誌を開いてみると、その記事のイントロ文には「男の浮気が正統化されるわけではないが、仲間由紀恵ほどの魅力を持った女性ですら、年上夫の浮気を防ぐことはできないものなのだ」とあるのだから、見出しで煽っているわけではなく、どうやら真剣にそう思っているらしい。
『週刊現代』の競合誌である『週刊ポスト』(2017年6月23日号)の記事「顔相学で見る『夫が不倫に走りたくなる妻の顔』」には、さすがに失笑してしまった。夫が不倫した理由を妻の顔相に求めるというアクロバティックな手法。「顔立ちや表情から性格や将来を占う『顔相学』の権威は、『不倫される妻の“顔”には特徴がある』」という。不倫されやすい女性の顔の特徴は5つ、「富士額」「目尻が短い」「左目が大きい」「下唇が厚い」「眉毛が薄い」で、仲間由紀恵は「すべての傾向が確認できます」とのこと。ちょっとどうかしている。
こういう姿勢、つまり、美術館にいる女は口説ける、どれほど魅力的な女性を妻にしても男はみんな浮気する、不倫されやすい妻の顔がある、という雑な情報散布を繰り返していると、そのまま信じ込む人はさすがに少ないにしても、その手の風土は耕され続けることになる。冒頭で記したようにいざ、突出した事案が起きる度に、「女性の落ち度」をまさぐろうとする人達がこれだけ生じるのは、男性達に向けた多くのマスメディアが女ってのはこういうものなんだよと、毎週のように繰り返しアピールし続けているからではないのか。とりわけオジ様芸能人の言動は、この風土を維持する抜群の拡声器である。異論を持つ男性は無視して済ますのだろうが、「自分は違う」というのなら、この手の風土に対して、いつまでやってんの、と問うべきだろう。さもなければ、ひたすら繰り返されてしまう。