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恋愛・結婚で「誘われ待ち」の姿勢を決め込む女性、図々しいのでは

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わたしたちは愛についてよく知らない

わたしたちは愛についてよく知らない

まだ彼氏彼女の関係ではない。でも、明らかに、イイ感じ。脈アリ。……にもかかわらず、どういうわけか相手の男性は自分のことを誘ってこない……もう、なんで? そんなふうな「じれったい関係」に思い悩む、待ち状態の女性たち。まあ、そこかしこに、いるんだろう。そんな女性を勇気づけるべく書かれた恋愛アドバイス記事を見つけた。

筆者は、相手が誘ってくれるのを待っている女性を、「図々しい」と思っている。行動しちゃえば悩みも解消できるだろう。しかしやはりというか、件の記事は、待ち状態を後押しするような内容だった。そもそも女性は男性に選ばれてなんぼ、誘ってもらえてなんぼ、という(うざい)価値観が世に長らく根付いているから、このような記事に需要があるのかもしれないけど。さらに言えば、恋愛(および結婚への過程)とは、男性が女性を誘い、男性が女性へプレゼントやデートで喜びを与え、男性が女性にプロポーズして、成立するものーーと信じられてきたことが今も残っているのだろう。

<いい感じなのに誘ってこない男性……何考えてるの? 恋学~Koi-gaku

思えば、“草食系男子”という言葉がムーブメント化したとき、「本来ならば恋愛において男性が女性をリードすべきなのに、それが出来ない情けない男子が増えている」という文脈で、侮蔑的に使われていたように記憶している。後に、転じて「ガツガツしてなくて付き合いやすい」とポジティブな文脈での使われ方をすることも出てきはしたが。にしても、男性から押すのが恋愛の作法だなんて、誰が決めたのか。そんな作法に従う必要はあるのか。当該記事の序文は、見事にその「作法」に則っている。

<明らかに「脈アリ」だと思うのに、二人きりになるシチュエーションに誘わない場合、男性はいったい何を考えているんでしょうか? しかも、女性が誘ってほしい雰囲気を醸し出しているなら、なぜ「一緒にごはん行こう」とか、「ちょっと飲み行かない?」といった言葉を言わないのか……謎です。なかなか誘ってこない男性の本音を、今回は深掘りしてみます。>

深堀りって……そりゃあ、相手の男性の本音は謎だろう。だって他人なんだから。女性側は「脈アリ」と感じていても、男性としては違うことを思っているのかもしれない。ただ気の置けない同僚女性や女友達とのコミュニケーションを楽しんでいるだけのつもりかもしれない。謎を解きたいのであれば、男性の本音を知りたいのであれば、それはもう自分から尋ねるなり、誘うなりするしかない。頭を捻ってあれこれ深掘りするのは結構だが、そうして導き出された結論も“正解”ではない。結局、相手に聞かない限りは仮定や予想にしかならないのだ。

なにより、女性が自分としては脈アリだと思っていて、尚且つふたりでデートしてみたいと望んでいるのなら、自分から誘ってみたらいい。

記事の本文では、<誘ってこない男性の本音>が3パターン挙がる。それぞれのパターンごとに解説およびアドバイスがなされているのだが、とにかく待ち状態の女性にとって都合の良すぎる内容で(つまり役に立たないであろう)、おののいてしまう。

・女性のOKサインが読めていない
恋愛に奥手だったり、鈍感な性格だったりで、女心が読めず、誘っても良い返事がもらえないかもしれない……と迷っている。あるいは男性の過剰防衛(男性の真剣度が高いほど、臆病・慎重になる)。

・二人きりで会うほど気持ちが高まっていない
「いいな」とは思うけど、はっきり「好き」と自覚していない場合、相手女性と11で会うことを避けたい。ここで自分から誘うと、相手女性に「あなたを好きアピール」している同然になってしまう。普段仲が良ければ、尚更誤解されたくない。

これに対し、記事では<「いいな」と好意を抱いている時点で、それが明確な恋心へ発展する可能性は高いでしょう。もう少し待てば、デートといえるお誘いがあるかもしれませんね>と、女性を激励する。待ってるだけでいいんかい。

ちなみに3つめのパターン「二人きりになれない事情がある」は、すでに彼女がいる、実は奥さんがいる、というケース。11のシチュエーションは浮気や不倫になってしまうため、職場やLINEでの「疑似恋愛」を楽しむにとどめている、というもの。いや、それこそ待ってないで聞くなり調べるなりしたほうがいいんじゃないですかね。パートナーを持ちながら脈アリな行動をしているって時点で不誠実な男性のように思えるが、この記事では<でも、ほかに大事な人がいながら平然とデートに誘ってこないだけ、誠実だといえます。また、彼女や奥さん以外の女性に目が向いている時点で、その関係はうまくいっていないはず。展開次第では略奪も可能かもしれません。あなたの気持ち次第で、男性を本気にさせることもできるでしょう>と、女性の気持ちを煽るアドバイス。しかも妻帯者かもしれない可能性を挙げておきながら<略奪も可能>としている。どっちなんだ。

最後、<あなたが好きな人は、どのパターンでしょうか? 今一度、気になる男性の性格と普段の会話やLINEでのやり取りを見直し、向こうの恋愛状況を細かくリサーチしてみましょう。彼の本心がきっと見えてくるはずです。>と結論付けて締めくくっているが、いやいや、見直しとかリサーチして見えてくる彼の本心って、「自分が予想する彼の本心」であって「彼の本心」そのものではないだろう。

だから最後は男性本人に確かめるしかないのだ。自分の本心を知ってほしければ相手に伝えなければ知ってもらいようがないのと同じで、相手の本心を知りたければ聞くしかないし、好きな相手とデートを望む気持ちがあるのなら自分で伝える。引かれたりフラれたりしたら女性は傷つくだろうが、ただ待っていて進展しなくても結果傷つくのだろうから、同じだ。恋をしていながら傷つかずに過ごすなんて無理である。相手任せで待ちの姿勢を決め込み、なるべく傷つかずに幸せになろうなんて、それこそ図々しすぎる。女性にとって「自分から押すほどの好きではないな」という心理状態なら、この限りではないが。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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