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社会を“男の絆”で占有する強固なロジック 「ホモソーシャル」の正体とは?

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先生、よろしくお願いします!

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男性性にまつわる研究をされている様々な先生に教えを乞いながら、我々男子の課題や問題点について自己省察を交えて考えていく当連載。3人目の先生としてお招きしたのは、男同士の連帯をめぐる問題を歴史的に研究した『男の絆─明治の学生からボーイズ・ラブまで』(筑摩書房)の著者である前川直哉さんです。

女性蔑視と同性愛嫌悪を基盤にした「ホモソーシャル」とは

清田代表(以下、清田) 今回のテーマは「ホモソーシャル」です。これは“男の絆”や“男同士の連帯”を意味する言葉ですが、知ってる人にとっては当たり前すぎるけど、知らない人はまったく知らない……という類の言葉ではないかと思います。

前川直哉(以下、前川) そうですね。一般的に、男同士の絆にはポジティブな意味が付与されています。強い友情で結ばれ、互いに切磋琢磨し合い、たとえケンカをしても後腐れなくさっぱりしている。そういうイメージで語られることが多く、男の友情を美しく描いた映画やマンガも星の数ほど存在します。

清田 もちろん、男同士仲が良いことは何の問題もないと思うんです。しかし、ひとたびツイッターで「ホモソ」と検索してみると、女性たちの怒りの声が大量にヒットします。「ホモソ野郎」「ホモソ村」「ホモソしぐさ」など、語感からしてただならぬ怒りを感じるキーワードも多々あり、これらのことが示しているように、ホモソーシャルは単に“いいもの”として扱えないシロモノではないかと感じます。

前川 背景には様々な理由があると思いますが、そのひとつに、「ホモソーシャルはときに女性に害を及ぼす」という要素が挙げられます。そもそもホモソーシャルとは、アメリカのジェンダー研究者イヴ・セジウィックによれば「ミソジニー(女性蔑視)とホモフォビア(同性愛嫌悪)をベースにした男同士の強固な結びつき、および男たちによる社会の占有」を意味します。例えば男同士連れ立って風俗やキャバクラへ行ったり、男たちが下ネタで盛り上がったりするのは、ホモソーシャルの典型的な風景です。

清田 実際に桃山商事でも、女性から「彼氏の地元グループの飲み会にお酌係として参加させられるのがつらい」「セフレの男に“誰でもやらせてくれる女”という噂を流された」といった相談を受けたことがあります。これもおそらくホモソーシャルの問題ですよね。

前川 これらが最悪の形になると、度々ニュースを騒がせている名門大学生による強制わいせつ事件のような惨事にもつながると思います。

清田 その「ホモソーシャルが女性たちにもたらす害悪」とは、具体的にどういうものなのでしょうか。そもそも、なぜ男の絆を深めるために下ネタや風俗が必要なんですかね?

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清田代表/桃山商事

恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。失恋ホスト、恋のお悩み相談、恋愛コラムの執筆などを通じ、恋愛とジェンダーの問題について考えている。著書に『二軍男子が恋バナはじめました。』(原書房)や『大学1年生の歩き方』(左右社/トミヤマユキコさんとの共著)がある。

twitter:@momoyama_radio

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男の絆 明治の学生からボーイズ・ラブまで (双書Zero)