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ジャンプのお色気、少コミのエッチ。裸かどうかではなく、女性キャラの反応に共通する記号

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「週刊少年ジャンプ」および「sho-comi」とその別冊付録

 『週刊少年ジャンプ』(集英社)のエロ表現問題がTwitterで集中的に議論されている。発売中の『ジャンプ』(2017717日号/第50巻第28号)巻頭に掲載されているイラストおよび連載作品の描写について、あるユーザーが問題提起したことが議論の発端だ。

 2016年より同誌で連載中のラブコメ作品、ミウラタダヒロの『ゆらぎ荘の幽奈さん』。主人公で霊能力を持つ冬空コガラシが、訳あり温泉宿「ゆらぎ荘」に住むことになり、ヒロインで地縛霊の湯ノ花幽奈をはじめとする個性的な女たちと共に共同生活を送る……というストーリーだ。発売中の号の巻頭見開きカラーページで、同作品のキャラクター人気投票の結果が発表されており、なぜか水着が脱げてしまい、素っ裸(乳首および股間はうまいこと隠されている)で焦ったり赤面したり涙目になったりしている女性キャラたちが描かれている。

 このマンガ、舞台が温泉宿だけあって入浴シーンは頻繁で、女性のバストが露出していたり、三次元なら着エロの部類である際どい水着を着ているシーンも少なくない。とりあえず<肌の露出面積は広い>。露出だけでなく、性交渉全般を連想させるシーンも多い。連載開始してまだ間もない2016年5月には、表現が「あまりにもエロすぎる」ため編集部からアウトを下され描き直したことがあったという。また、20174月の巻頭カラーでは、ヒロイン幽奈をはじめとする女性キャラ9人が全員裸(露天風呂にいる模様)、バストトップや陰部は桜の花びらや本人の手で覆っている、という表現もあった。

 少年誌ではおなじみの、男性主人公に大勢の可愛い女性たちが群がるハーレムものラブコメとしてはいわば「あるある」の表現なのかもしれないし、古い世代は高橋留美子のマンガ作品も同じ系譜だと見るだろう。しかも高橋が描いた作品では乳首描写もあったわけで。ただ、高橋作品と『ゆらぎ荘の幽奈さん』で大きな違いがあるとすれば、女性キャラの描かれ方ではないだろうか。

 高橋作品の女性キャラたちは、水着が脱げてしまっても、赤面したり涙目になったりして「いやぁ~」とか「やめてください~~」と内股になったりしない。ラッキースケベだったとしても男性キャラに怒りを向けて殴る蹴る「ちゅどーん」である。他方、『ゆらぎ荘の幽奈さん』、また今回の議論で同列に並べられている『ToLOVEる』の女性キャラなどは、赤面・涙目系の反応をするのだ。

 ここで論じたいのは、過激なエロ描写自体の是非ではなく、日本におけるエロ描写のパターンのほとんどが<嫌がったり、拒んだり、恥ずかしがったり、涙目になっていたりする女性>という“エロコード”を含んでいることだ。嫌がったり拒んだりしながらも女性の答えはNO……ではなくYES、嫌よ嫌よも好きのうちがまかり通り、肯定されているように読めてしまう、ここに問題の核心があるのではないか。つまり、ここ日本のカルチャーにおいては、肌の露出面積が広いかどうかではなく、そうした女性側の反応込みで“エロ”が成立しているように見える。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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