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もはや「人生100年」時代 8月の法改正で年金制度の何が変わる?

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金額は減るけれど……

これまでは「年金を納めた期間」は最低でも25年必要というのが絶対的ルールであり、年金の知識の中では常識でした。しかし20178月に25年が10年に短縮されるようになります。

これによってかなりの多くの人が救われることにはなりますが、金額に関して注意が必要です。当たり前といえば当たり前なのですが、40年払った人と同じ金額をもらえるわけではありません。

今の高齢者の金額でいうと、40年間払った人が受け取る基本の年金額は年に約78万円です。でも10年の人は年に約19万円となります(これに、会社を通じて厚生年金保険料を納めた期間がある場合は、金額の上乗せがあります)。40年の4分の1である10年間しか払っていないので、金額もざっくり4分の1程度になる、と考えておきましょう。

つまり、10年しか納めていない人達は、「無いよりはマシ」という程度になります。今回の変更を受けて、「10年でOKだし」と余裕を持てるわけではないことがよくわかりますよね。

それでも、「これまでの基準だった25年には足りないけど、10年なら納めてる!」という人は大勢います。なんと今回法律が変わることにより、老後の年金がゼロ円の予定だった人の約63万人がゼロを免れることになるという試算です。

まとめ

なんだかんだ文句ばかり言われている年金ですが、一般的に老後に思いっきり稼ぐことは難しくなるので、親が超お金持ちだとか一部の恵まれた人でもないかぎり、これからも年金は老後の収入源の大きなウエイトを占め続けるのは間違いないでしょう。それだけ年金は大切な制度なのです。

会社で厚生年金が引かれていれば注意する必要はありませんが、個人事業主・フリーランス、フリーター、仕事を探している期間がある人は、うっかり未納にならないように注意しましょう。

どうしても払えない場合は年金事務所に出向いて相談することが重要です。場合によっては未納扱いではなく、免除にしてもらえる可能性もあります。この場合は払った期間としてカウントされるため、未納よりはるかに良い扱いとなります。将来払えるようになった場合には後で納めることもできます。

それでもどうしても納めた期間が10年に満たない場合は、ラストチャンスが用意してあります。最大70歳まで納める期間を延長することができるのです。年金は一生涯受け取ることができる仕組みなので、長生きすれば、そこまでして払う価値もあるわけです。「人生80年」と言いますが、これはもうちょっと古いです。半数以上の人が平均寿命よりも生きるので、私たちは「人生100年」と考えるほうが現実的になってきています。こうなると、一生涯受け取ることのできる国の年金はかなり魅力的ではないでしょうか。

若いと無視しがちな年金ですが、将来のことを考えると今のうちにしっかりと考えておかなければならないものです。今回の大きな変更を機に、何か1つでも2つでもいいので。年金の仕組みを知ってもらいたいと思います。

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川部紀子

ファイナンシャルプランナー(CFP® 1級FP技能士)。社会保険労務士。1973年北海道生まれ。大手生命保険会社に8年間勤務し、営業の現場で約1000人の相談・ライフプランニングに携わる。その間、父ががんに罹り障害者の母を残し他界。自身もがんの疑いで入院する。母の介護認定を機に27歳にしてバリアフリーマンションを購入。生死とお金に翻弄される20代を過ごし、生きるためのお金と知識の必要性を痛感する。保険以外の知識も広めるべく30歳でFP事務所起業。後に社労士資格も取得し、現在「FP・社労士事務所川部商店」代表。お金に関するキャリアは20年超。個人レクチャー、講演の受講者は3万人を超えた。テレビ、ラジオ等のメディア出演も多数。近著に『家計簿不要!お金がめぐる財布の使い方』(永岡書店)がある

twitter:@kawabenoriko

サイト:FP・社労士事務所 川部商店 川部紀子】

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家計簿不要! お金がめぐる財布の使い方