社会

『殺人シッター』と呼ばれた男の長い起訴状

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わいせつ行為の意図について否認

 あまりに多い罪状。分かりづらいが、上記のAは龍琥君で、殺人行為があったとされる日時に物袋被告は、龍琥君の弟(B)も一緒に自宅で預かっていた。

 続いて罪状認否に続く。裁判長がひとつひとつ確認をしながらゆっくりとすすめた。全体として「児童ポルノの製造は認めるが、わいせつ行為については性的な意図がなかった」として否認。龍琥君、B君の事件については、母親に対して、別人を装い保育を引き受けるメールを送ったことは認め、母親を誤信させたことも認めた。

 わいせつ誘拐については「わいせつ目的で連れ帰っていない」と否認。龍琥君の陰茎を紐で縛ったが口淫はしていないと主張。殺人については「殺害はしてません」、B君への保護責任者遺棄致傷については「保護はしていました」と主張。低血糖の傷害を負わせたことについては「分からないです」と述べた。

 これを引き受けて弁護人も同様に大部分を否認した。全体として行為にわいせつな目的はなかったという主張だ。しかし児童ポルノ製造のみは認めていた。

 生後数カ月程度から5歳程度までの男児女児の陰部を撮影していたうえ、男児であれば陰茎に紐を巻きつけたり口淫したことは概ね認めているが、そうした行為には性的な意図がなかったという主張だ。認否を聞いた時、さすがにこれで性的な意図を否定することは難しいのではないかと感じたが、物袋被告は以降の公判でも同様の主張を繰り広げた。さらに龍琥君の殺害や、弟のB君への保護責任者遺棄致傷についても否認。一般的に裁判は、否認すれば争点も多くなり長期化する。長い審理が始まった。この日の初公判も10時から17時半まで続くことになる。

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高橋ユキ

傍聴人・フリーライター。2005年に傍聴仲間と「霞っ子クラブ」を結成(現在は解散)。著作に「木嶋佳苗 危険な愛の奥義」(高橋ユキ/徳間書店)など。好きな食べ物は氷。

twitter:@tk84yuki

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