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月間15億PVを誇るケータイ小説サイトを「廃れた」と言えるのか

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『Deep Love―アユの物語 完全版』(スターツ出版)

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「ケータイ小説ってまだあったの?」→あります。

 ささやかな興味から、ケータイ小説を読み続けてかれこれ15年になる。

 と、こう書くと我ながら「人生の半分か」と軽い驚きを禁じ得ないが、これを口に出して言った場合、目の前の相手はもっと驚く。そして十中八九こう言われる。

「えっ、ケータイ小説ってまだあったんですか!?」

 そう、まだあるのだ。ケータイ小説執筆の場となる「魔法のiらんど」だって「野いちご」だってバリバリ稼働していて、毎月何かしらの作品が書籍化され世に出ている。たしかに、『Deep Love』(2002)や『恋空』(2006)のような大ヒット本は見なくなったけれど、「ケータイ小説」という枠組みがつくりあげた小さな王国は、決して滅びてなどいない。

 そんな話をwezzyの編集者K氏にしたら、「その話、wezzyでしてくださいよ」と頼まれたのでこれを書いている。というわけで、声を大にして言おう。アバン先生は生きていたし、ケータイ小説も生きていると。なんでそんなことをアナウンスするかというと、最近、「ケータイ小説危篤説」がWEBで流れているのを見たからだ。

「ケータイ小説文化は風前の灯」?

 今年7月、ウェブメディア「ねとらぼ」にて、ケータイ小説の動向について論じたWEB記事がアップされた。またその数日後には、ニュースメディア「ホウドウキョク」の番組「FLAG7」もケータイ小説に言及している。

7/18 あれから10年、「ケータイ小説」が急速に廃れた理由とは? 
現役女子高生に『恋空』を読んでもらった
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1707/18/news029.html

読めますか?たった10年で消滅寸前の「ギャル文字」「ケータイ小説」を改めて味わう
https://www.houdoukyoku.jp/posts/15331

 「急速に廃れた」「消滅寸前」……

 見ればわかる通り、どちらも「ケータイ小説はもはや虫の息」を前提として書かれている。そのままずばり、前者の記事の冒頭はこうだ。

2017年現在、ケータイ小説という単語を久しく聞かなくなってしまいました。あれだけ流行したケータイ小説文化は、一体なぜ廃れてしまったのでしょうか。
引用元:ねとらぼ 
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1707/18/news029.html

 多くの人が、「そういえば、ケータイ小説ってめっきり見なくなったなあ」と思うところだろう。しかし、ケータイ小説ウォッチャーの私はひっかかった。私の目にうつるケータイ小説は「廃れて」などいないし、「ホウドウキョク」記事にあるような「風前の灯」状態でもなかったからである。

 たしかに、ケータイ小説「ブーム」は完全に終わったと思う。今後、ケータイ小説からミリオンヒットが出る可能性は低いだろう。しかしブームの終焉は、必ずしも「文化の廃れ」を表すものだろうか。私はそう思わない。

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小池未樹

ライター・漫画家。1987年生。大学卒業後、郷土史本編集、テレビ番組制作、金融会社勤務などを経て、2013年よりライター・編集者としての活動を開始。企画・構成に『百合のリアル』(著・牧村朝子)や『残念な政治家を選ばない技術—選挙リテラシー入門』(著・松田馨)、著書に『同居人の美少女がレズビアンだった件。』『家族が片づけられない』(井上能理子名義)などがある。最近猫が足りない。

twitter:@monokirk

サイト:http://mikipond.sub.jp

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ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち