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家事ダメ女が批判されること自体、性別役割分業を強化している/『踊る!さんま御殿!!』に充満する空気

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Photo by Emiliano Horcada from Flickr

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 女性は家事が得意な方がいい。男性は結婚を考えるとき、相手女性に家事能力や育児の適正を求める。男女共に就職して働くことが一般的な社会であっても、それを当然視する性別役割分業の概念は根強い。

 未だに女性は「彼に愛されたいなら胃袋をつかめ」と応援され、手料理の腕を磨くことをすすめられる。女性自身も、料理上手であることは男性の恋愛感情を高めるアピールポイントと認識して、彼氏を自宅に招いて手料理でもてなしたりする。

 7月25日放送の『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系、火曜19:55~)のテーマは「家事好きvs 家事ダメ」。司会の明石家さんま(62)及びゲスト出演者たちが家事好き・家事ダメに分かれて、家事に絡んだトークを展開……という内容だった。

 同番組は、これまでにも「家事好きvs家事ダメ芸能人大バトルSP」(2017425日放送)、「家事ダメ女vs家事好き男」(20161025日放送)、「家事ダメ女vs家事好き男」(2016426日放送)と、同様のテーマを取り扱ってきた。シリーズ化しているということは、好評なのだろう。どの放送回でも、家事が嫌い・不得意な女性ゲストはドン引きされ、家事が好き・得意な男性ゲストは「男なのに細かいな~」といったニュアンスでいじられるか賞賛されるか、という扱いになっている。女なのに家事ができないのはダメで、男なのに家事が上手いのは変わり者、という空気が充満している。

 今回の放送も例に漏れず、「今夜は最強の家事好き軍団がズボラ女子をメッタ斬り!」「家事ダメ女子はブスが多い?」といったトークが展開されていった。あらゆるボケや小ネタを拾うさんまは、他人の家事に厳しく、「焼きそばは料理のうちに入るか!」といちいちツッコミを入れまくる。洗濯王子こと中村祐一の染み抜きに関するアドバイスに対しては「お前が女やったらなぁ~」と嘆いてみせる。あるいは「ペットボトルの中にマリモみたいなのが生えて……」と言った神田愛花に、「日村、かわいそう」と同情するなど、番組司会であるさんまにとって、女性は家事上手であるべき存在だということは終始明確化されている。それをベースに企画されているので、視聴していると、女性が家庭に、というか社会において“家事要員”であることに一抹の疑問すら持てなくなってくる。

 しかし一般視聴者から投稿された家事好き・家事ダメの仰天エピソードのVTRにおいては、「女なのに」「男だから」といった性別意識は顕著ではない。家事好きで几帳面な男も、家事嫌いで大ざっぱな女も、とりたて珍しい存在ではないというのが実際のところだと理解できる。その一方で、両者の存在を「意外」と見る傾向はまだ残っていて(あるいはメディアがそのように煽る)、だから「ズボラ女子」という呼び方が生まれるのではないか。家事に興味がなく雑な男性が「ズボラ男子」と呼ばれることはない。

 逆に、もう10年近く前だが、『めざましテレビ』(フジテレビ系)で「定位置男子」特集をやっているのを見たことがある。部屋の中にあるものすべて「これはここ!(リモコンはテーブル右下、とか)」とどの位置に置いておくかきっちり決める男性がクローズアップされていた。家事や整理整頓をきっちりおこなう几帳面な男性のことは「ちょっと面倒くさい奴」として取り上げられるのだ。そういう男性は男らしさに欠ける、と見られる場面も多いかもしれない。そして、家事や整理整頓が苦手な「ズボラ女子」は「女失格」の烙印を押されがちだ。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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