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『ロングバケーション』の瀬名は“地味モテ男・星野源”が受け入れられる土俵を作っていた

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『ロングバケーション』ポニーキャニオン

『ロングバケーション』ポニーキャニオン

 木村拓哉さんの出演した“月9”作品を辿っていく『キムタ9』。2回目は1996年放送の『ロングバケーション』を回想したいと思います。

 平均視聴率 29.6%、最高視聴率36.7%、瞬間最高視聴率では最終回に43.8%を記録した同作は、木村さんのブレイクのきっかけともなった作品です。今では当たり前になった“キムタク”の愛称はこの時期からスタートしました。同時にSMAPの人気も上昇し、シングル『青いイナズマ』『SHAKE』などヒット作が続いていきます。個人的にはSMAPの『胸騒ぎを頼むよ』に乗せてキムタクが『スーパーリップで攻めてこい』とカメラ目線で囁く化粧品のCMを思い出します。ちなみにテスティモのスーパーリップ、買いました。

『ロンバケ』はバブル女性の価値観を変えるフックに

“瀬名秀俊(木村)はピアニストを目指しながら、音楽教室で細々と生計を立てる24歳。ある日、白無垢姿の葉山南(山口智子)が自宅に駆け込んでくるという珍事が発生。聞けば、瀬名と部屋をシェアしていた男性に結婚式当日に逃げられたという。彼の戻りを待つため、2人は同じ部屋で同居を開始。31歳の南は突然婚約者を失い、モデルの仕事も年齢のため干された状態。人に堂々と話せる仕事も肩書きもない状態の2人が、友達の境界線を超えていつしか惹かれあっていく。”

 瀬名は自分に自信がなく、口下手な男。そんな彼が、底抜けに明るくて真っ直ぐな南との出会いをきっかけに変わっていくのです。それまで誰かのためにピアノを弾いたことのなかった瀬名が、ラストシーンでは、愛する南のために弾いた一曲でピアニストとして海外デビューを果たします。

 それまでドラマの主人公といえば、貧乏でも才能があるアウトローだとか、そこそこ仕事はできるリーマンとか、やたらモテるとか、何か強さや武器を持っている男性が主流でした。その空気を一掃したのが瀬名。クラスで目立たなかった男子に少しずつスポットライトが当たっていくように、1話ごと、不器用な男の魅力が描かれていきました(と言ってもキムタクですから、全話通して、どのシーンを取っても、ものすごいイケメンです)。

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スナイパー小林/小林久乃

文筆家、編集者、エンタメ&テレビドラマ評(コラム)からの愛酒家。出版社2社で女性ファッション雑誌、情報誌の編集部員を経て、まんまとフリーランスに。ライターの先生や地方で講演と楽しいおしゃべり仕事もしてます。静岡県浜松市出身。アラフォーで正々堂々の独身を誇る…。

@hisano_k

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