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夫がだらしないのは妻のせい? 夫の成功は妻のおかげ? 内助の功という信仰

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Photo by freestocks.org from Flickr

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 専業主婦の母によって育てられた世代がいわゆる“結婚適齢期”とされる時期を迎えたとき、すでに専業主婦という選択肢は一部の女性のみの特権となっていた――。

 内閣府「男女共同参画白書平成29年度版」によると、2016年(平成28年)時点での共働き世帯数(雇用者の共働き世帯)は1,129万世帯で、専業主婦世帯数(男性雇用者と無業の妻から成る世帯)は664万世帯。1980年(昭和55年)時点では、共働き世帯614万、専業主婦世帯1,114万だった。徐々に共働きが増え、専業主婦が減っていき、バブル崩壊直後の1991年(平成3年)から両者の数はほぼ半々となり、今から20年前の1997年(平成9年)時点で、共働き世帯949万、専業主婦世帯921万と、前者が後者を上回っている。その後2016年に至るまでずっと、共働き世帯多数が専業主婦世帯数を上回った状態が続いているが、農林産業の世帯などを含めると両者の開きはもっと大きいかもしれない。

 つまりこの国は、20年前から共働き世帯が多かったし、その差は開くばかり(女性の社会進出が叶った結果だといえば聞こえはいいが、男女の賃金格差や昇進格差は未だ残存しており問題は山積している)。また、2015年時点での生涯未婚率は男性23.37%、女性14.06%(国立社会保障・人口問題研究所『人口統計資料集 2017改訂版』より)。2013年に推計された、2020年の生涯未婚率は男性26.6%、女性17.8%(同)であるが、こうした状況を一切鑑みない「結婚幻想」や「内助の功(あるいは「あげまん」)信仰」は、相も変わらず根強い。

 前置きが長くなったが、本稿は「内助の功」に関するネット記事および書籍について書いていく。私の立場としては、「内助の功」という考えそのものを否定する気はないが、自立した大人同士が結婚しているはずではないのか、と疑問に思ってしまう、というものだ。

小姑目線

 内助の功とは、何か。たとえばこういうことだ。

こ、細かい! 「だらしない妻」認定されやすいポイント3つ(女子力アップ Googirl

『既婚男性を見て「あの人の奥さんってだらしないのかな」と思うことはありませんか?』という一文で始まるこの記事、うーん、別にありませんけどね。そんな一億総小姑みたいな状況を想定してたらますます非婚社会になっちゃいませんかね。

 それはさておき、<今回は、だらしない認定をされやすいポイントをまとめてみることにしました。すると、なんということでしょう。意外と細かいところまで見ている女性も少なくないようで――?>とのことで、記事で挙げられている「だらしない妻」認定をされやすいポイントは3つ。

1)ワイシャツがシワシワ

2)お弁当がない!?

3)革靴が汚い!

 3つとも、妻ではなく本人(既婚男性自身)が自分で何とかすればいいだろうことなのに、「妻が夫にしてあげるべきこと」として見られているようだ。ワイシャツがシワシワだったり革靴が汚かったり、つまり「身だしなみ」が整っていない男性と出会ったら、普通は「奥さんがだらしないのかな」ではなく、「本人がだらしない」と思うのでは。出勤時に自分で身なりを整えられないほうがヤバイのではないか。その余裕すら持てないほど、仕事に忙殺されているということなのだろうか。

 お弁当に関してはもう余計なお世話としか言いようがない。夫婦間で話し合って決めることなのだから、「奥さん、だらしなくて朝起きれないのかな~」と勘ぐるのは、単純にその人が“イヤな奴”なだけである。この記事はきっと「既婚男性の身だしなみと昼食は妻の責任」という昭和な価値観の元、書かれたのだろう。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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