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『女が嫌いな女』は誰にウケ、なぜ喜ばれるのか

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「週刊文春」(文藝春秋)

「週刊文春」8/17.24合併特大号(文藝春秋)

 89日発売の「週刊文春」(文藝春秋)に、恒例の『女が嫌いな女』特集が掲載されている。記事によれば今回で12回目になるこのアンケート企画、今回はメルマガの女性会員を対象に回答を募集し、総票数は2000を超えたという。

 さて、そんな「女が嫌いな女」アンケート結果だが、1位が松居一代(60)、2位が稲田朋美前防衛相(58)、3位が上西小百合衆議院議員(34)と、今年上半期のワイドショーを賑わせた女性たちが並ぶ。4位には最近インスタで話題の工藤静香(47)もランクイン。同じ自民党である神戸市議会議員・橋本健との手繋ぎ不倫疑惑が報じられた今井絵理子参議院議員(33)も10位に食い込んだ。松居は昨年は圏外だったが、夫・船越英一郎との離婚騒動やYouTube騒ぎなどでトップに躍り出た。ちなみに工藤は昨年も5位でありひとつだけ順位を上げた格好だ。

 記事ではカンニング竹山(46)が「強そうなオンナばっかり」と閉口し、読者から寄せられた「この女を嫌いな理由」コメントも掲載されているが、記事に採用された「嫌いな理由」の多くには疑問を感じざるを得なかった。

 松居に対しては「女の一番醜悪な部分を露呈し続けている」、稲田前防衛相に対しては「セミロングの髪が大嫌い。少女のヘアスタイルだ」、上西衆議院議員に対しては「わけのわからない炎上ばかりして、議員として仕事をしているのか疑問」、今井参議院議員についても「政治家が不倫で転落しているのに、なんの学習もしていない。新幹線での手繋ぎ居眠りを撮られるなんて、バカなのではないか」。31位の野田聖子総務相(56)に対しては「野心ギラギラ。ほしいものはどんな方法を使っても手に入れる女」……

 まだまだ続く。ベッキー(33)は、昨年の2位から8位に順位を下げてはいるものの、いまだに昨年初めのゲス不倫騒動が尾を引いている。「ほとぼりが冷めてから地味に復帰して、何食わぬ顔でいるのが気に食わない」とのコメント。9位のノリノリノリカこと藤原紀香(46)には「自撮りの過剰な修正が怖すぎるし、ブログも常に上から目線」との意見。16位の石原さとみ(30)に対しては「まさに現代版ぶりっ子。わかっていない男子はみなこの手に騙されるのね」……。

 もうこの辺でよいだろう。つっこみどころは満載だ。まず竹山の強そうなオンナというコメント、女が強そうで何がいけないのか。強そうな女は女からも嫌われる、というのが暗黙の了解としてあるのだろうか。

 松居に対する「女の一番醜悪な部分」とは一体なんなのか、具体性に欠ける。松居は「女だから」あのような暴走を見せているのか? 上西衆議院議員に対しては「わけのわからない炎上ばかり」していることと政治家としての資質を同列に捉えている。野田総務相への「野心ギラギラ」も、野心があって何が悪い、である。

 松居一代は女性だけに嫌われているのではない。常識の及ばぬレベルにまで攻撃性を高めモンスター化しているために、男女関係なく世間から一歩引かれているのだ。稲田前防衛相が「セミロング」であり「少女のヘアスタイル」であることは彼女の仕事とは関係ない。最終的には南スーダンにPKOで派遣された陸上自衛隊の日報問題をめぐる不祥事の責任を取り辞任したが、それまでも場と立場をわきまえぬ失言を繰り返すために、世間からは白い目で見られていた。

 ノリカの写真の修正など単なる美肌フィルター止まりであり、他の女性芸能人に比べればまだ可愛い方である。ブログが上から目線という意見にも「別の芸能人のブログを見ているのではないか」と首を傾げる。女優“気取り”、梨園の妻“気取り”が気に食わない? いやいやノリカは女優だし梨園の妻でもある。石原さとみがぶりっ子だという意見も、ぶりっ子以前にそもそも石原さとみは可愛いので、やっかみにしか聞こえてこない。

 昨今の週刊誌の主たる読者層は高齢男性であるから、読者層から考えても、これは「女が嫌いな女」ではなくむしろ「男が嫌いな女」なのではなかろうか。感情的に物事を捉える性であり“男が考える女”である女たちが女をジャッジする、というこの記事自体に、こうしたアンケート回答者を含む女性全体を醜悪なものとして見せたいという目的があるような気すらしてくる。7月に、文春公式ツイッターアカウントである「文春くん」がこのアンケート募集に関するツイートを行なった際、同誌に連載を持つ町山智浩氏はそれを引用リツイートし企画に対して異議を唱えていた。

 女性は感情の生き物であり、だから「好き」か「嫌い」という個人的な感情でものを言うことがあるのだ、との決めつけに基づき、女性同士の対立を煽るような企画は、確かにそろそろ終わりにしてもらわなければ、いつまでも「女は男よりもバカ」のドでかいレッテルは剥がれない。だが一方で、こうした企画が12回も続いているのは、実際に好評だからなのであり、つまり世間がそれを求めているからだろう。

(鼻咲ゆうみ)

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