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白人至上主義にNO! 人種差別・女性差別への対抗策は「デモ・ケーキ・絵本」

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チェルシー・クリントン『she persisted』

 アメリカは揺れ続けている。トランプの登場によって勢いづいた白人至上主義者と、その台頭を許さず、立ち上がる市民。そして白人至上主義者の横行を容認する大統領。

 8月12日、米国南部のヴァージニア州シャーロッツヴィルにて白人至上主義者のデモがおこなわれた。街頭での暴力的な衝突に次いで白人至上主義者の男が運転する車が反対派のグループに突っ込み、女性一人が死亡、20人が重軽傷を負った。

 この事態について大統領のトランプは「どっちもどっち」と発言。多くの一般市民が怒りの声を挙げ、メディアも批判を繰り返した。トランプが属する共和党からも批判のコメントを発する政治家が続出した。

 こうして全米で緊張感が高まる中、事件から一週間後の19日に今度はボストンにて白人至上主義者の集会が開催されると発表された。当日、現地の警察は再度の混乱を防ぐべく厳重な警備体制を敷いた。果たして、集会には約100人の白人至上主義者が参加したに過ぎず、対して抗議者デモには4万人もの市民が参加し、ボストンの大通りを埋め尽くしたのだった。

ケーキを食べて、差別主義者に抗議!

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ティナ・フェイ(Mingle Media TV

 結果的に暴力事件は起こらず、幸いにもいたって平和的なデモとなったが、事前には再度の暴力沙汰が懸念された。集会の2日前に著名な女性コメディアン、ティナ・フェイがテレビに登場し、「土曜は暴力的になりそうなデモに参加しないで、地元のビジネスを応援して、ユダヤ系のケーキ屋とか、アフリカン・アメリカンのケーキ屋とかに星条旗のケーキを注文して、自宅でそれを食べようよ!」と、実際にケーキを爆食するコントを披露した。ちなみにユダヤ系と黒人は共に白人至上主義者の差別と迫害の対象である。

 ティナ・フェイはニューヨークで製作・生放送されるコメディ番組『サタデーナイトライブ』の脚本家・出演者として人気を馳せた白人女性だ。同番組はリベラルの視点に立った政治パロディも目玉のひとつ。ティナはコメディアンとしてドタバタ・コントを演じつつ、脚本家としては政治社会問題、そして女性差別に常に敏感であり、時には番組を離れて個人名ではっきりと政治的メッセージを発してきた。

 10年ほど前に同番組を“卒業”したティナは、今やドラマと映画の製作・脚本・出演、CM出演、自著の出版など広く活躍し、米国ショービズ界で高く評価、尊敬される人物だ。同時に6歳と11歳のふたりの娘の母親でもある。

 ケーキを食べることから「ケーキング」と称されたティナのコントの趣旨は、デモに参加して見下げ果てた白人至上主義者と同じレベルで叫び合うのではなく、「無視」しようということだった。この意見に賛同する声もあれば、「白人至上主義者を無視していられるのは白人の特権よね」と、さらなる人種問題を提起する声もあった。「時には命まで狙われるマイノリティには無視する余裕などなく、全力で阻止せねばならない」ということだ。このようにティナの提言は賛否両論を呼び起こした。

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堂本かおる

ニューヨーク在住のフリーランスライター。米国およびNYのブラックカルチャー、マイノリティ文化、移民、教育、犯罪など社会事情専門。

サイト:http://www.nybct.com/

ブログ:ハーレム・ジャーナル

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