社会

白人至上主義にNO! 人種差別・女性差別への対抗策は「デモ・ケーキ・絵本」

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13人の女性の物語:奴隷から判事まで

 絵本には13人の素晴らしい女性たちの物語が、とても可愛らしい絵とともに綴られている。どの女性も単に「女性」であるだけでなく、人種的マイノリティ、移民、障害、貧困など二重三重のハンデを背負いながら、タイトルどおり、初心を「Persisted(しつこい、粘り強い)」に貫いている。以下は登場する女性たちの一部だ。

ハリエット・タブマン(1822 – 1913)
自身も奴隷でありながら、命を賭けて他の奴隷のために逃亡組織を運営した女性

クララ・レムリック(1886 – 1982)
ウクライナからの移民として低賃金の工場労働に喘ぎ、1909年に2万人を組織して労働条件改善要求ストを実現した労組リーダー

マリア・トールチーフ(1925 – 2013)
ネイティヴ・アメリカン特有の名前ではバレエ界で成功できないと言われるも改名を拒み、1940〜60年代に活躍したバレリーナ

サリー・ライド(1951 – 2012)
「女性には無理」と言われながらも1983年に米国初の女性宇宙飛行士となり、後に女児へのエンジニア教育もおこなった物理学者

ルビー・ブリッジス(1954 – )
1960年、南部ルイジアナ州にて初の「白人の小学校に通う黒人児童」となり、白人住人からの猛反発と脅迫を受け、大統領令による警護が付けられた女性

ソーニャ・ソトマイヨール(1954 – )
貧しい移住者の家庭に生まれ、かつ持病を抱えながらも勉学に励み、2009年にヒスパニックとして初の米国最高裁判事となった女性

 チェルシーは、この絵本は先に挙げたウォーレン・エリザベス議員にインスパイアされたものとして献辞を捧げている。また、コレッタ・スコット・キング、自身の母親であるヒラリー・クリントンはあえて「13人の女性偉人」に含めず、ただしイラストとしてひっそり、あるページに忍ばせてある。

「大統領になりますか?」

 講演会では最後に会場の女の子たちからの質問にチェルシーが答えた。ある小学生の女の子は「大統領になりますか?」と聞いた。母ヒラリーが大統領戦に敗れた瞬間から出馬が望まれているチェルシーだが、この日は「ノー」と答えた。だが、会場の女の子たちに向かって、「大統領だけでなく、市会議員など地域の政治家もとても大切ですよ」と語りかけた。

 チェルシーはティナと同様、デモに参加することへの異議は唱えていない。ティナの意図は、危険なデモであれば参加を控えようということだ。直接の言及はなかったが、幼い子供がいるのであれば、母親として今回のデモはリスクが高過ぎると考えたのだろう。チェルシーの場合は、幼い女の子たちに勉強して、社会を観察して、自分の得意な分野に進んで、まわりが「女の子なのに」「マイノリティなのに」などと言っても「しつこく」粘り、夢を叶えようということだ。その中には市会議員も大統領も含まれる。それが国を、社会を、良くする方法のひとつなのだ。

 そして……

 今は乳児と3歳児の母親として「絵本」という抗議方法を実践したチェルシーだが、母ヒラリーが成せなかった「社会を良くする方法」に、将来いつか挑んでみせるのだろうか。
(堂本かおる)

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堂本かおる

ニューヨーク在住のフリーランスライター。米国およびNYのブラックカルチャー、マイノリティ文化、移民、教育、犯罪など社会事情専門。

サイト:http://www.nybct.com/

ブログ:ハーレム・ジャーナル

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