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苦痛は取り除いていい、手作りじゃなくていい。「愛情で乗り切れ」は暴論<育児する男>樋口毅宏×劔樹人【2】

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(左/樋口毅宏さん、右/劔樹人さん)

(左/樋口毅宏さん、右/劔樹人さん)

<前編 我ら、頼りになる、強い嫁に仕えて <育児する男>樋口毅宏×劔樹人【1】>

「イクメン」という言葉が流行して久しい。それでも「家事育児は女性側が担当」という不文律は未だ残存し、未就学児を育てる世帯では「ワンオペ育児がつらい」と悲鳴を上げる母親もいる。

 女性には母性本能があり、出産によって自動的に育児能力が発動すると誤解している人もいるかもしれないが、そんなことはない。女も基本、頑張らないと出来ないし、逆に男も頑張ったら出来るものである(頑張らなくてもナチュラルに育児出来てますよ~という人もいる気はする)。

 実際に家庭にコミットし家事と育児を担う男性として、『さらば雑司ヶ谷』『タモリ論』などで知られる作家の樋口毅宏さんが、新潮社から『おっぱいがほしい!:男の子育て日記』を上梓したのが今年6月末。時を同じくして、音楽畑で活躍してきた漫画家の劔樹人さんは、『今日も妻のくつ下は、片方ない。妻のほうが稼ぐので僕が主夫になりました』(双葉社)を刊行。ふたりとも一児の父親として、育児に奮闘している。

 前編に続き、「父親」である二人の男性のライフスタイルを紹介していきたい。

■樋口毅宏さん:作家。1971年生まれ。奥様は弁護士の三輪記子さん。1才9カ月の息子さんを子育て中。
■劔樹人さん:ミュージシャン、漫画家。1979年生まれ。奥様はエッセイストの犬山紙子さん。7カ月の娘さんを子育て中。

(左:『おっぱいがほしい!男の子育て日記』新潮社/右:『今日も妻のくつ下は、片方ない。 妻のほうが稼ぐので僕が主夫になりました』双葉社)

(左:『おっぱいがほしい!男の子育て日記』新潮社/右:『今日も妻のくつ下は、片方ない。 妻のほうが稼ぐので僕が主夫になりました』双葉社)

<前編 我ら、頼りになる、強い嫁に仕えて <育児する男>樋口毅宏×劔樹人【1】>

お腹を痛めなくても異常に可愛い

樋口 二人目のお子さんって、考えてらっしゃいますか?

 僕は……フラットな気持ちでいます。樋口さんは?

樋口 僕らは夫婦ともに「二人目欲しい」と言ってるんですが、妻は今年41歳なんです。妻は「次は東京で完全無痛分娩で産みたい」と考えていて。

 いいですよ、無痛分娩!

樋口 いいって言うじゃないですか?  それが、かずふみのときも無痛分娩を選択してはいたはずが、妻は猛烈に痛がって……。犬山さんの著作『私、子ども欲しいかもしれない。』を拝読しましたが、全然痛みがなかったんですよね?

 そうなんです、無痛分娩といっても、和痛といって痛みを和らげるものと、完全に痛みを感じない無痛とあるようで、僕らがお願いした産院は完全無痛を謳っているところなんです。陣痛もまったく痛くないです。

樋口 すごい!

 だからとても不思議な体験をしました。痛みに苦しんで「ヒッヒッフー」みたいな、想像していた出産と全然違うんですね。ものすごい静かで、機械のピッピッて音だけが響く分娩室で、台に乗せられた妻と助産師の方が談笑してたんですよ。

樋口 想像がつかない!

 モニターで陣痛の波がわかるようになっていて、助産師さんが「いま陣痛きてますんで、押しますー」って。

樋口 あ、うちも助産師さんが妻の上に乗って、ところてんのように押し出してました。

 3回くらい「いきんでください」と言われて、うーんってイキんだら、産まれて。赤ちゃんが取り上げられたのを見て妻が「あっ、ホントだ!」って(笑)。それくらい、びっくりするくらい痛くないんですよ。そこの産院は24時間陣痛管理してくれるので、予定日より早くても対応してもらえました。

樋口 すっごくいいですね。その病院、後で教えてください!

 若干、割高だったなとは思うんですけど。

樋口 いやいいんですよ、妻にまた痛い思いをしてほしくないですもん。産後のつらそうな状態を見てたら、二度目も進んで苦しんで下さいなんて思えないです。よくどっかのバカが「お腹を痛めて産まなきゃ母親になれない」みたいなことを言うじゃないですか。おまえが産まないから言えるんだろって。間違った信仰だと思います、「母乳で育てろ」とかも。僕はそういうの、いちいち反対です。

 お腹痛めなくても間違いなく可愛いですし愛情もありますよね。母乳も、最初子供が直接飲まなくて、妻がすごく辛そうにしていたのを見ていたんですよ。だから、母乳関連のことで女性ってすごく傷ついているんだろうなあと思って、そこは男もきちんと声を出して反対したほうがいいですよね。

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おっぱいがほしい!: 男の子育て日記 今日も妻のくつ下は、片方ない。 妻のほうが稼ぐので僕が主夫になりました