家族

超人気絵本作家・のぶみ『このママにきーめた!』が押し付ける母子の逃げられない結びつき

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のぶみ『このママにきーめた!』サンマーク出版

 『ママがおばけになっちゃった!』(講談社)が大ヒットした絵本作家・のぶみ氏。8月5日に刊行された新作絵本『このママにきーめた!』(サンマーク出版)も、飛ぶように売れているらしい。ちなみに、のぶみ氏は2017年夏(78月)に『あくまちゃんとてんしちゃん』『うんこちゃんけっこんする』など計4冊の絵本を量産しており、9月には『ママがおばけに~』の続編もリリース予定だ。

 さて、『このママにきーめた!』の帯には「ママを喜ばせるために産まれました。」というメッセージが躍っている。絵本というからには親が子に読み聞かせるのが一般的だが、私は、とてもじゃないが自分の子には読み聞かせられないと思った。この絵本で描かれる世界を、私は肯定することも受容することもできない。

うんでくれて、うまれてくれて「ありがとう」

 この絵本の設定・世界観では、赤ちゃんは自分で母親を選んでお腹を選ぶことができる。主人公の赤ちゃん<ぼく>は、「ママを喜ばせるため!」に、ママを選んでお腹にINした。

 掃除もしない、料理もテキトー、ダイエットも続かない女性は、天界では“ダメママ”呼ばわりされていて、どの赤ちゃんもお腹に入りたがらなかったが、<ぼく>は「ようし! ぼく、このママにきーめた!」と選ぶ。「ぼくは、ママになんかしてもらいたいわけじゃないもん、ぼくは…ママをよろこばせるために、うまれるんだから」と。

 <ぼく>は、ママのお腹でも大活躍で、ママに伝えたいことがあるとお腹を蹴る。そのことにママも気づいて、パパと一緒に大喜びし、<ぼく>とお腹越しの会話をする。しかし生まれてからはママに怒られてばっかりの<ぼく>は、ママに伝える。

「ぼくね、うまれるまえ、くものうえからママえらんだんだよ」
「そんなのママをよろこばせるためにきまってんじゃん! ぼくがすることでママがよろこんでくれなきゃ! ぼくは、うまれてこなきゃよかったってきもちになるよ」

 そんな<ぼく>にママは感動し、泣きながら「うまれてきてくれてありがとう えらんでくれてありがとう」と伝え、<ぼく>も「ママ、うんでくれてありがと」というのだった。ちなみに<ぼく>には胎内記憶がある。のぶみ氏によるあとがきを読む限り、のぶみ氏は、本気で“子供は母親を選んで産まれる、母親を喜ばせるために”という概念を信じているようだ。「おなかのなかの記憶がある子どもたちに会って描いた絵本です」とのことで、その子たちは全員「ママをよろこばせるために産まれてきた」と言ったそうである。本当か……?

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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