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「男が働かないとはけしからん」の社会規範ともうひとつ、男性育休が進展しない理由

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Photo by Daniel Foster from Flickr

 厚生労働省が発表した2016年度の男性の育児休業取得率は、3.16%でした。“過去最高”だそうですが、ぱっとしない数字です。「イクメン」という言葉が流行する一方で、男性の育児休業取得はなかなか浸透していない……ということでしょうか。831日発売の「週刊文春」97日号(文藝春秋)に掲載されている金子恵美衆議院議員(39)とジャーナリスト猪熊弘子氏の対談でも、男性育休について話が及んでいました。

 金子氏は今年6月、「週刊新潮」201776日号(新潮社)で“公用車私用疑惑”として、長男の保育園送迎に公用車を使用していることを批判的に報じられました。当該記事には、金子氏に厳しい姿勢の猪熊氏のコメントも掲載されていたのですが、しかしそれは自分の本意ではなかったと猪熊氏自身がTwitter上で経緯を説明――、そんな一幕もありました。あれからおよそ2カ月。「週刊文春」の対談で両者は育児にまつわる諸問題について白熱議論を交わし、その中で育児休暇の話題も俎上にのったのです。

 猪熊氏は、「イクメン」という言葉はあるものの、男性の育児参加については「社会的にはまだまだ普及しているとは言えない」と俯瞰。金子議員の夫(前衆議院議員・宮崎謙介氏)は、“ゲス不倫”を「文春」で報じられて辞職しましたが、夫婦として親として、今も金子議員と共に子育てをしているそうです。しかし宮崎氏の育休宣言に「男性が働かずに育休を取るとは何事か」という意見も寄せられたそう。育児「休暇」ではなく、『いっそのこと、育児を大事な業務と考えて、「育業」という名前に変えれば』、男性も臆せずに育児のため仕事をストップする機会を持てるのではないか、との考えを示しています。また、中小企業ではたとえ男性が望んでいても育休が認められにくい、表向きは“育児支援に手厚い企業”でも男性の育休期間はごく短い場合がある――課題はうんざりするほど山積しています。

 20年前の時点で、専業主婦世帯よりも共働き世帯のほうが多くなっていた日本社会。女性が働くことは珍しくも何ともないというのに、いざ子供が生まれたら、育児は女性が全面的に担当するのが常となっています。猪熊氏は「男性の育休期間がたった一週間とか、呆れるほど短かったりする。少なくとも半年は必要だと思う」と言いますが、同感です。

 もちろん、産後の一週間だけでも、出産で疲労困憊状態の妻を夫がサポートする期間があることは良いことです。しかしそれだけでは、「育児は女性の仕事」である状況が変化しません。もっと言えば、女性が数カ月~数年の育児休暇をとって子育てに専念する場合、「育児は女性“だけ”の仕事」も同然です。そして、<女性は出産や育児によって職場に穴を空ける、リスキーな労働者>として不当に扱われる現状も、変わりようがないのではないでしょうか。これは「女性は育児をしたくない」という話ではありません。やりたくないことを男女で押し付けあっている、ということでもありません。

 男女どちらも、性別による不利益を被ることなく仕事をする権利があります。しかし出産を理由に雇い止めを受ける女性、もっと仕事を頑張りたいのに時間の制限が出来てマミートラックに乗ってしまい能力を伸ばせない女性、子育てにもっと時間を割きたくとも時短勤務を許可されない男性など、育児世代にとって「仕事と家庭の両立」が厳しい現状があります。仕事を最優先に出来ない社員は男女問わずNG、とみなす企業文化に問題があることは明らかです。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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男が働かない、いいじゃないか! (講談社+α新書)