「ナイスバディを拝めるのが楽しみ(30代・男性)」
「あのぴったりしたウェアが気になっている(40代・男性)」
(『女子プロゴルファー 美しさと強さの秘密』宝島社)
で、その「女子アナ」に向かうような目線が、今度は「女子プロゴルファー」に向けられている。とりわけ、韓国人ゴルファー、アン・シネが人気を博しているが、特集雑誌から彼女を見に来たギャラリーの声を拾うと(上記)、その目線は露骨だ。彼女を見るためにゴルフ場を訪れるギャラリーが増え、ゴルフ雑誌は軒並み彼女の写真を掲載しているが、当然、誌面の作りは、ゴルフの実力云々よりも、「ナイスバディを拝める」方面を優先させていく。
秘書や女子アナとまったく同じ構図なのだが、美貌やナイスバディを散々取り上げておきながら、それだけじゃないよ、との見解を被せてくる。例えば、「ファッションやセクシーさばかりが強調されがちだが、彼女は決してゴージャスで華やかな道だけを歩んできたわけではない。そのキャリアを振り返ると、苦労と試練も多かった」(前出誌掲載・慎武宏氏のテキスト)といった分析が同じ雑誌に盛り込まれる。そう補足しておくことで、下世話な目線を必死にうやむやにしていく。
キレイなだけではない、セクシーなだけではない、と男性目線の側が補足し、管轄したがる姿勢に歪みを感じる。秘書にしろ、アナウンサーにしろ、アスリートにしろ、活躍している女性を見つけると、まずは性別に依拠したジャッジをする。その後で、それだけじゃないよ、というフォローする。どうやらそれで、エロの目線で捉えて品評する臆面のなさを隠しているつもりのようなのだ。この決まり切った構図に、とってもストレートな「気持ち悪いっすよ」を向けたい。実力も評価しているからさ、という上空飛行ならではの言い訳って浅ましい。言い訳があろうとなかろうと、セクシズムはセクシズムである。メディアが呼吸するように繰り返すこの悪習は、いわゆる「オッサン目線」が露骨な媒体だけではなく、あちこちに染み渡っている。あちこちで繰り返される以上、繰り返し「気持ち悪いっすよ」を向けたい。
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