連載

「家事育児余裕~」「ゴミ出ししてますけど」家事育児にまつわるマウンティング

【この記事のキーワード】
Photo by www.Pixel.la Free Stock Photos from Flickr

Photo by www.Pixel.la Free Stock Photos from Flickr

 小町では純粋な相談や広く意見を募る質問系、そして愚痴トピも多いが、純粋な相談や質問と見せかけて、コメントで意に沿わない意見を書き込まれるや否やトピ主が好戦的になり、醜い応酬が繰り返されることがある。相談といいながら単に喧嘩を売っているだけ、みたいなものもあり、個人的にはそういったトピを見るのが小町の醍醐味の一つではないかと考える。今回は、家事育児をテーマに小町住民に対して喧嘩を売っているかのようなトピを紹介したい。

子育てが辛いという人に対する素朴な疑問

 トピ主は29歳会社員女性。1歳の男児を育てているワーママだが、のっけからこう切り出した。

「平日もですが、休日もベビースイミングに通わせ、また私自身もジムやジョギング等で体力作りをしたり、友人家族や夫婦両方の両親(子供からしたらお祖父ちゃんお祖母ちゃん)と遊んだりと、精力的にこなしています♪
ところで質問なのですが、私のこのようなライフスタイルを友人に言うと、体力ありすぎ! 等と驚かれます。
逆に私はこの程度の負荷でいっぱいいっぱいになる方が不思議です。ワーキングマザーライフはそこまで辛いのでしょうか? 辛いと言っている方は夜勤があったり、労働時間がものすごく長いのでしょうか?」

 戦争の予感しかない。さてそんなトピ主の仕事は朝9時~17時までの内勤。夫は平日が多忙なのでトピ主が家事育児を一人で担うのだという。妊娠前は残業50時間程度、国内外の出張があったが、現在は内勤であるため「本当に余力があり、他の人の業務を黒子として手伝って」いるらしい。

 家での家事育児については「週に1度くらいはお総菜を出すこともありますが、なるべく手作りを心がけ、掃除もし、洗濯も12回、絵本や手遊び歌で育児もしているつもり」だとか。そしてこう問いかける。

「この程度を出来ず、疲労困憊、限界だ、という方は2人目を考えたり、今後残業制限がなくなって男性と同じように働いたり出来るのでしょうか? 世の中は体力のない女性ばかりで驚きます」

 当然ながらコメントでは「人それぞれ」「マウンティングするな」といった書き込みがあふれた。

30代になったら、体力なくなりますし、祖父母にも頼ったりできるわけでしょ。あなたは恵まれてるんですよ。いろんな人がいることを理解したほうがいいですよ。」

「主が30代後半になり、小学生に上がった子供(学童)と保育所二人の子育てをして同じことが言えるでしょうか。専業主婦は保育所にも一任せずご飯を食べさせ、遊び場つれていきしてますよ。疲れるかなんて人それぞれでは?」

「本当にできる人は他人を批判しない 質問なんてしないよ(笑)十人十色を知っているから」

 トピ主は、トピ文のマウンティングに乗った自営業だという女性からの「背負っているのがあなたとは違います。私は雇われ歯車ではないので(笑)」というコメントに狙いを定めて、応戦する。コメントタイトルはモロに「雇われ歯車のトピ主です☆」。あ~あ来たよこれ。

「職業に貴賤はないと思っており、子供の小さいうちは一般職になろうと決めました。確かに付加価値の少ない業務ではありますが、雇われ歯車と差別的な言われようをするとは驚きショックを受けました。
母子が健康で、納税もして多少ながらも社会貢献できていると思っていたのですが、まさか存在するだけで腹が立つと思われていたのですね。育児も仕事もとても遣り甲斐があり楽しいですが、嫌われる存在であることが辛いです」

 トピ主レスの冒頭には「ただ、保育園でだいたい同じ時間にお迎えに来るママ友や、児童館等でお話するママ友が疲れた疲れたと愚痴ばかりで、とても湿っぽく、もっと前向きな話をしたいなあ~と悩んでいたのです」と書いてあるのに前向きな話はどうした、という感じである。そしてトピ文と同様、体力への自信をのぞかせる。

「土日は私がベビースイミングに連れていっている時間は夫に1人の時間を与え、逆に子供が寝たら23時間くらい眠るので、さっと近くのジムで胴体の筋トレと水泳をしています。
楽しいからというのもありますが、神経性の腰痛を抱えており、医者から進められた運動をしている感じです。運動しないと逆に足が痺れてしまいます。
もっと長く総合職で働きたかったですが、健康保険を使って不妊治療するのも申し訳なく、また育児は投げ出せないので、やりたい職種というより福利厚生のある企業に就職すべく、就活も受験も資格取得も計画的に頑張ってきたので、楽しいことや幸せなことを人と共有したいです」

 コメントも半ば呆れ気味になってきた。「結局、あなたは何が仰りたいんですか? 他人と比べて優越感に浸りたいだけですよね??」「いやいやいや(笑)そこ体力の問題じゃないじゃない?」など、トピはさらにエキサイト。

「私は早くに結婚しましたが子宮外妊娠等があり、もう二人目は望めません。最後の体外受精で授かった子です。二人、三人産んで苦労してみろ、というレスをしてくださった方、それが出来ず申し訳ありません。私はこの先も一人だけの楽チンな育児をさせていただきます。
不妊治療にお金がかかったため稼がなくてはなりません。開腹手術を経ており帝王切開だったので産後も激痛の中授乳しましたし、一晩中起きて世話しました。でも愛する我が子なので全く疲れません」

と、トピ主は相変わらずの体力自慢を繰り返す。

 コメントでは「マウンティングもあてこすりもあえての自虐も、もうやめませんか? あなたはたぶん傷ついているのでしょう。でも自分が傷ついていることがわかっていないか認めたくない、そんな風に見えます」「自分が幸せなら良いのではないでしょうか?」などなど、たしなめムードが盛り上がってきた。そんな中! あまりに予想外のトピ主レスがついた。

「夫が私の不妊のことを義母に知らせてしまいました。大喧嘩になりましたが、結婚の条件を満たせないことから、離婚となる可能性が高いです。また、親権も取られてしまいそうです。
一般職では自活も難しく、これから一人でどう生きようか途方に暮れています。
もうバギーランで子供が揺さぶられることもなくなりますし、私以外のまともな人間に育ててもらえて、息子は幸せになれるのではないかなと思います。そこは唯一の望みです。
最初から母親になる資格も、人間になる資格もなかった。私の人生は始まっていなかったのかもしれません」

 こうして唐突にトピが終了となった。果てしなく釣りくさいが、マウンティングに乗っかった小町住人たちが振り上げた拳の行き場がなくなってしまった……。ひょっとしたら、最後のコメントのような現実が、トピ立ての時点ですでにあったのかもしれない……小町はいつもミステリアスである。

 続けて、男性トピ主からの「僕も家事してるんですけどぉ~、妻がもっとやれって言うんですよぉ~。どう思いますぅ~?」なトピも紹介したい。

1 2

ブログウォッチャー京子

1970年代生まれのライター。2年前に男児を出産。日課はインスタウォッチ。子供を寝かしつけながらうっかり自分も寝落ちしてしまうため、いつも明け方に目覚めて原稿を書いています。

twitter:@watcherkyoko

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

家事労働ハラスメント――生きづらさの根にあるもの (岩波新書)