社会

目の前で起きようとしている性暴力を、私たちは第三者として食い止められるか。大学生と学ぶ「第三者介入トレーニングプログラム」

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ワークショップで大学生が、「自分たちが止められる性暴力」を考えた。

 個室居酒屋でサークルの先輩、後輩交えての飲み会。無茶な飲酒で女子学生A子が酔いつぶれている。一部の男子学生の“思惑”を感じながらも、女子学生B美は終電を理由に帰宅し、男子学生Cは先輩らの非道な行為に加担したくないと思いながらも、場の空気に流されてしまうーー。

 その後、A子はある被害に遭い大学に出てこられなくなる。けれど、この被害は食い止められたのではないか。誰が、どの段階で、どのように行動したらA子は無事でいられたのか。

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 性暴力は基本的には加害者と被害者のあいだで起こる。しかし、そこに第三者が介入することで、暴力を未然に防ぐ、あるいはそれ以上のエスカレートを阻止することができる。密室状態で性暴力が行われているケースでも、それが継続的なものであれば誰かが声をかけ問題を表面化させることで、被害を受けつづける日々に終止符を打てることもあるーーこれらのアクションを、“第三者介入”という。

 広く実行されれば性暴力が減ることは間違いない。ただ、簡単なことではない。たとえば、電車内で痴漢行為を目撃したと想像してほしい。やめさせるべきだとわかっている。でも、怖い。加害男性は常軌を逸しているように見える。自分も何をされるかわからない。足がすくんで、声が出ない……。

大学生にとって身近な性暴力

 9月某日、都内の大学生によって「第三者でも性暴力は止められる!」と題したワークショップが開催された。これは学生有志と、女性への差別や暴力、抑圧に声をあげていく一般社団法人「ちゃぶ台返し女子アクション」が協力して準備・運営しているもので、当日は複数の大学から女子学生、男子学生らが参加した。

 大学生にとって性暴力は、身近な問題である。2016年は大学生による集団暴行のニュースが相次いだが、事件化、表面化するのは氷山の一角。参加した大学生からも性暴力、セクハラが身近にあると感じているという声が聞かれた。なかには自分が第三者として介入していれば友人が危険な目に遭わずに済んだかもしれないと話す参加者もいた。

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昨年発覚した事件は、氷山の一角。Photo by MIKI Yoshihito from Flickr

 同ワークショップは、アメリカの高校や大学において広く行われている「第三者介入教育トレーニングプログラム」をもとにしている。プログラム導入によって、性暴力の事件数が3年間で47%減った高校もあるという。

 冒頭で挙げたような、大学生活を送るなかでよく遭遇するであろうシチュエーションをもとに、自分だったらどう行動するか/できるかを考え、具体的な介入の仕方を学ぶなかで、活発な意見が交わされた。その内容をダイジェストでお送りする。

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三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに取材、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)、『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで~』『私、いつまで産めますか?~卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存~』(ともにWAVE出版)などの編集協力を担当。著書に『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。

twitter:@MiuraYue

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