社会

衆議院議員総選挙は10月22日投票。各政党の公約比較とはじめての選挙投票の仕方、政治家の駆け引きに惑わされないために

【この記事のキーワード】

 2017928日に、衆議院が解散した。つまり、次の衆議院議員(465席)を決めるための総選挙が行われる。投票日は1022日に予定されている。

総務省の第48回衆議院議員総選挙(および最高裁判所裁判官国民審査)特設ページはこちら

 政治の動向は基本的に連日報道されているものだが、ここ数カ月間は、森友学園加計学園問題に北朝鮮のミサイル問題、議員のスキャンダルに新党設立などなどに多くのマスコミ報道が時間を費やしてきた。7月の東京都議会選挙で小池百合子東京都知事率いる都民ファーストの会が圧勝し、7月末に「二重国籍問題」を追及された蓮舫氏が民進党代表を辞職。失言の多かった稲田朋美防衛大臣も防衛相を辞任した。83日には、第3次安倍第3次改造内閣が発足(自公連立政権)している。

 流れは速かった。91日、民進党代表に、前原誠司氏が当選。97日、民進党の山尾志桜里衆議院議員が離党届提出(翌8日に受理)。925日、小池百合子東京都知事が記者会見にて、都民ファーストの会を母体とした国政新党「希望の党」の結成し、新党党首に就任することを発表。同じく925日、安倍首相が記者会見にて、衆議院を解散する意向を発表。928日、臨時国会にて、衆議院の解散。前原氏が希望の党への合流を提案し、一部の民進党議員がそちらへ流れる一方で、枝野幸男氏が代表となり103日に立ち上げた立憲民主党にも菅直人元首相・長妻昭元厚生労働大臣ら民進党出身が入った。立憲民主党は共産党および社会民主党と連携していく。

 1022日の総選挙には、私たち一般市民が投票に行く。しかし「なぜ今、解散するのか」「誰に投票すべきなのか」さっぱり理解できないままでは投票することも出来ない。私自身がそうだ。視聴者・読者が「わかっている」こと前提のテレビニュースや新聞記事を見ても、ちっともわからない。ずっと政局を見てきたわけではないからだ。自分の仕事や家庭、日常で精一杯だ。投票権を持つ多くの人が実際そうなのではないか……と思う。しかも政治家はやたらと“駆け引き”をするし、発言も一貫性がなくて何を信用していいかますますわからなくなる。今回の総選挙で言えば、公には自民党・安倍政権批判を繰り広げている小池百合子氏も、腹の中では何を考えているのかさっぱりわからないわけである。

 その「希望の党」が、7月の都議選の勢いのままに圧勝するだろうとの見方が当初は強かった。自民党の支持率は低いが野党の支持率が高いわけでもないという状況の中、小池百合子氏が結成した新党に期待を込めて投票する国民が多いだろうと見られたからだ。彼女は女性でクリーンなイメージがある、らしい。小池氏が繰り返し強調する「しがらみだらけの男社会」で闘うジャンヌ・ダルクのようなイメージを投影してしまう有権者もいるのだろう。けれど、そう簡単に信用していいものなのか。あちら側が提示してくるイメージをそのまま受け止めて言いなりになって平気なほど、政治家というものは誠実ではないんだなあということを、私たちは十分に知ってしまっているはずだ。選挙戦に際しては耳障りの良い言葉を並べるものの、当選すれば実行しなかったり、国会で野次の応酬に終始して重要な審議が後回しになったりといった政治家たちの姿を見れば、誰だって信用できなくなる。全然、有権者に優しくない。というか有権者をただただバカにしているように思う。

 それでも私は投票には行きたい。ひとまず、10月10日の公示を受け、現時点でわかる各党の政策について整理しておく。

___

自民党

1北朝鮮対応(北朝鮮に対する国際社会の圧力強化を主導。ミサイル対応能力強化。拉致問題解決。また、日米同盟を強固にし抑止力を高める)

(2アベノミクス加速(引き続き景気回復を目指す)

(3生産性の向上(ロボット・IoT・人工知能のイノベーションを起こし、また中小・小規模事業を含めた企業支援を行う。働き方改革を推進し、長時間労働の是正や最低賃金1,000円を目指す)

(4保育・教育の無償化、人づくり革命(消費税率10%引き上げた際の増収分で子育て支援を充実させる。2020年度までに、35歳児の幼稚園・保育園費用を無償化、02歳児も低所得世帯は無償化、待機児童解消として32万人分の保育の受け皿整備。介護人材確保)

(5地方創生(生産性革命に加え、若者や農林漁業者が希望を持てる「農政新時代」を切り拓く。東日本大震災の被災(地震・津波・原子力災害)や熊本地震、九州北部豪雨災害などの復興支援。外国人旅行者4000万人を目指す)

(6憲法改正(国民の理解を得ながら、衆参両院で議論を深める。自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消など4項目を中心に憲法改正を目指す)

希望の党

1)消費税増税凍結(景気回復を確実にするため、2年後に予定されている消費税増税を凍結)

2)議員定数・議員報酬の削減(「しがらみ政治」からの脱却を掲げている)

3)ポスト・アベノミクスの経済政策(徹底した規制改革と特区の最大活用で経済活性化)

4)原発ゼロへ(2030年までに原発ゼロを目指す)

5)雇用・教育・福祉の充実(正社員で働ける、結婚できる、子どもを育てられる社会へ)

6)ダイバーシティー社会の実現(特に女性・シニアの力を生かす)

7)地域の活力と競争力の強化(道州制を導入)

8)憲法改正(9条を含め改正議論を進める。国民の知る権利、地方自治の分権を明記)

9)危機管理の徹底(外交安全保障と自然災害対策強化)

「希望への道」しるべ12のゼロ

1)原発ゼロ (2)隠ぺいゼロ (3)企業団体献金ゼロ (4)待機児童ゼロ (5)受動喫煙ゼロ (6)満員電車ゼロ (7)ペット殺処分ゼロ (8)フードロスゼロ (9)ブラック企業ゼロ (10)花粉症ゼロ (11)移動困難者ゼロ (12)電柱ゼロ

 

立憲民主党

1生活の現場から暮らしを立て直させます(長時間労働の規制、最低賃金の引き上げ、保育・教育、医療・介護等の待遇改善、医療・介護の自己負担軽減、赤字中小企業・小規模・零細事業者に対する社会保険料負担の減免、児童手当・高校等授業料無償化ともに所得制限の廃止、大学授業料の減免、奨学金の拡充、所得税・相続税・金融課税などでの再分配機能の強化)

(21日も早く原発ゼロへ(原発ゼロ実現に向け「原発ゼロ基本法」策定、再生可能エネルギー・省エネ技術への投資拡大と分散型エネルギー社会の実現、パリ協定にもとづく地球温暖化対策の推進)

(3個人の権利を尊重し、ともに支え合う社会を実現させます(あらゆる差別の禁止・差別の解消、性暴力被害者の支援、選択的夫婦別姓の実現、国政選挙へのクオータ制の導入、自殺に追い込まれることのない社会の実現、貧困の連鎖を断つための教育生活支援、虐待をなくすために児童相談所・児童養護施設・民間団体の協働強化、 カジノ解禁に反対)

(4徹底して行政の情報を公開します(政府の情報隠ぺい阻止、特定秘密保護法の廃止、情報公開法改正による行政の透明化、議員定数削減、企業団体献金の禁止と個人献金の促進、中間支援組織・NPO団体などを支援する「新しい公共」の推進、公務員の労働基本権の回復、天下り規制法案の成立、取り調べの可視化など信頼性ある司法制度の確立)

(5立憲主義を回復させます(憲法9条の改悪に反対、領域警備法の制定、専守防衛を軸とする現実的な安全保障政策の推進、辺野古移設について再検証、国際社会と連携しての北朝鮮への圧力強化、平和的解決を目指し外交力で北朝鮮の核・ミサイル放棄を訴える、拉致問題解決に向けた取り組み、共謀罪の廃止、実効性のあるテロ対策の実施)

(6地域を立て直す(農業者戸別所得補償制度の法制化・恒久化、資源管理による漁業の活性化、森林の適切な管理と保全、森林・林業再生プランに基づく林業の発展、自治体と住民の取り組みを支援する一括交付金の復活、地域の公共交通の活性化)

(7災害からの復興(東日本大震災からの復興・被災地再生に向けた取り組みの一層の強化、地域の声に応える支援の実施、コミュニティの再生支援、自主避難者を含む避難者に対する生活支援、全国的な災害対策の拡充)

 

日本共産党

(1国政の私物化を許さない(森友・加計学園疑惑の徹底究明)

(2安全保障法制、特定秘密保護法、共謀罪法の廃止(集団的自衛権行使容認を撤回)

(3北朝鮮問題は経済制裁と対話で解決

(4消費税増税中止し、経済民主主義の回復を(中小企業を除く企業の法人実効税率を引き上げる)

(5現行憲法維持 憲法9条改定を許さない

(6核兵器禁止条約締結を目指す

(7米軍新基地建設の中止 辺野古移転中止

(8原発再稼働に反対 原発ゼロ実現へ

(9女性への差別・格差廃止

(10災害から国民生活を守る

※各分野の具体的な政策(65項目)はこちら

 

社会民主党

(1憲法「平和主義」「国民主義」「基本的人権の尊重」の三原則を順守し、「憲法を変えさせない」。9条改定には反対の姿勢。

(2消費税10%引き上げに反対、税制改革(所得税、大企業法人課税など)にて財源確保の姿勢。

(3原発ゼロの実現 原発新増設を撤回。既存原発再稼働にも反対

(4雇用 最低賃金1,000円の実現。労働基準法改正案には反対。

(5安全保障 自衛隊予算および活動を専守防衛水準に。

(6普天間基地の辺野古移設反対

___

 投票日は1022日、日曜日。もちろん期日前投票も出来る。その場合の投票場所は各市区町村に一箇所以上設けられる「期日前投票所」となり、時間は午前830分から午後8時まで。

 選挙区ごとに擁立された各候補者の詳細は、それぞれの党の選挙ページや立候補者の個別webサイトから確認出来る。最後に、まだ選挙で投票したことがないという人のために、簡単に小選挙区制と比例代表制について説明だけしておきたい。実際、私も20代前半の頃は選挙にも政治にも関心が低く、投票に行ったことがなかった。初めて近所の小学校体育館に投票に行ったときは緊張したが、投票は簡単であっという間に終わった。

 現在の日本の衆議院選挙は、小選挙区制と比例代表制、2つのしくみを同時に実施する「小選挙区比例代表並立制」が採用されている。

 「小選挙区制」は簡単なしくみで、1つの選挙区につき1人だけが当選。当選できるのは、最も投票数の多かった候補者だ。ちなみに2017年現在、小選挙区の数は全都道府県併せて289カ所。つまり、今度の衆議院選で、小選挙区制によって選出され衆議院議員になれるのは289名ということになる。

 「比例代表制」は、全国10ブロックある比例区での各政党の投票率(投票数を、有効投票総数で割った数値)に応じて議席数が決まる。議席数が確定すると、各政党で候補者名簿の上位記載者から順番に議席を割り振られていく。2017年現在、比例区で選出できるのは176名。

 候補者はどちらにも立候補でき(重複OK)、小選挙区制は1区に1人しか当選できないが、もし小選挙区制で落ちても比例代表制枠で当選したら議員になれる。有権者は、それぞれ1票ずつ(小選挙区:議員の名前 比例代表制:政党名or議員名)を投じる。

 街頭演説に耳を傾ける時間がなくても、インターネットで情報を集めることが出来る時代だ。そこには必ず正しい情報が載っているわけではないから取捨選択が必要だが、自分の住民票がある選挙区の立候補者について、投票日までに少しでも情報を得ておいたほうがいいだろう。耳障りの良い言葉に惑わされずに、自分にとってよりベターな政策方針を持つ政党・候補者を見極めてほしい。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

学校が教えないほんとうの政治の話 (ちくまプリマー新書)