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小池百合子を「女性の味方」と煽る女性週刊誌の誤解!「ものすごく頑張れる女」以外は排除する小池の信条

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武田砂鉄

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 さて、小池百合子について、である。彼女は中年女性に突出した人気を持つと言われる。政治アナリストの談話には「小池さんが出馬した昨夏の都知事選は投票率が約60%で、前回を14ポイント上回りました。実は、その上積み分というのは、ほぼ25歳から70歳の主婦たちでした」(『週刊新潮』20171012日号)とある。今回の選挙でも小池は再び中年女性に狙いを定め、ワイドショーを意識した、達成できる見込みゼロの「〇〇ゼロ」をいくつも並べている。その談話を載せた記事のイントロ文にはこのようにある。

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「主婦たちの反乱票が『マダム小池』になだれ込み、総理の座へと押し上げようとしている」

(『週刊新潮』2017年10月12日号)

 この単純化した図式は、小池のみならず「主婦たち」の投票判断を皮肉るものでもあるが、「男社会に切り込んでいく女」との図式が強まれば強まるほど「しがらみのない政治」を連呼する小池には戦いやすくなるから、この手の論調をむしろ歓迎するはず。昨年、小池が都知事に就任した頃に、旧知の女性週刊誌編集者に話を聞くと、とにかく小池のファッション特集が好評だという。例えばコレとか……と見せてもらった記事の隅っこには、一方、稲田朋美防衛大臣(当時)のファッションがいかに酷いかとの比較があり、しどろもどろの答弁を繰り返しては周囲の男たちに助けてもらっている稲田と、(実際には何一つ問題を解決できていないのに)自信に満ちた表情で微笑みながら答弁を続ける小池の差に読者は打たれていたようなのだ。

 では、今回の選挙を前にしても、女性週刊誌は小池百合子を支援し続けているのかどうか。『女性自身』(20171019日号)を開くと、「小池百合子にあ然呆然 手玉にとられた11人の男たち」との記事があり、「小池氏が永田町の“古狸たち”を相手に大博打に打って出た。あぁ痛快かな。『初の女性総理』の椅子をグッとたぐり寄せた、快刀乱麻の2週間」と始まる。半ば都政を投げ捨てるように国政を揺さぶる快感に酔いしれている小池の手法への批判が重なる中、中年女性をメインターゲットとする雑誌は、小池を、未だに「既存の男社会をぶっ壊してくれる存在」として賞賛しているのだ。

 記事を読み込むと、小池自身も頻繁に使う「(女の)ガラスの天井」を打ち破るのが小池であり、「日本において『最も高い』『最も硬い』ガラスの天井を、ついに破ろうとしている」と意気込む。彼女は昨年、『JAPAN WOMAN AWORD2016』の授賞式で「女性だから苦労したことは?」と問われて、「ありません!」と即答した。こういった発言を振り返りながら、「女性政治家に多いのが、やたらと『女性目線』をアピールすること。しかし小池氏は『大事なのは、女性の目線ではなく、国民に目線を合わせること』と言い切る」と、男勝りな点を褒め称える。

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武田砂鉄

ライター。1982年生まれ。東京都出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、2014年秋よりフリー。著書に『紋切型社会──言葉で固まる現代を解きほぐす』(朝日出版社、2015年、第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)、『芸能人寛容論──テレビの中のわだかまり』がある。2016年、第9回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞を受賞。「文學界」「Quick Japan」「SPA!」「VERY」「SPUR」「暮しの手帖」などで連載を持ち、インタヴュー・書籍構成なども手がける。

@takedasatetsu

http://www.t-satetsu.com/

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芸能人寛容論: テレビの中のわだかまり