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真木よう子を「育児放棄の女」と判定する矛盾と、親から子への奉仕度を監視する息苦しさ

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真木よう子Instagramより

 1017日発売の「女性自身」(光文社)に、このような見出しが躍った。

真木よう子 長女を元夫に連日預けて新恋人と“火遊び愛”!

 ややこしい書き方の記事だったが、要約するとシングルマザーで娘(8)と同居し育児する立場にある真木よう子(35)が、娘を別れた元夫・片山怜雄に預けて男(Aさん)と夜に会っているというものだ。その男性とは少し前まで恋愛関係にあったが今はそれは解消して友人関係、真木は仕事のトラブルなどで抱えた悩みを彼に相談しているという。

 内容には矛盾が多く、複数の証言者が登場するものの、証言者によって話は食い違っている。最初はAさんを新恋人として主演ドラマ『セシルのもくろみ』(フジテレビ系)の低迷と打ち切り、コミケ騒動など、トラブル続きの真木を支える存在だと証言(Aさん知人証言)。最愛の長女と一緒に暮らせずにいる真木にとってAさんだけが頼り(真木の友人証言)。業界内では真木が「育児放棄している」とウワサになっている(テレビ局関係者証言)。

 1013日に同誌がAさんを直撃。Aさんは、真木とは今年1月に付き合いはじめ6月に別れたが、破局後も相談に乗っていると語る。元夫は、忙しい真木を心配して長女を預かることを申し出たのであり、真木も感謝している、育児放棄などとんでもないという話(真木の別の友人証言)。真木の所属事務所は、元夫婦は離婚後も協力して子育てしていると聞いているし、プライベートは本人に任せている、とのこと。

 この内容に、なぜ<真木よう子 長女を元夫に連日預けて新恋人と火遊び愛!>という見出しがつくのか、理解に苦しむ。

元夫は「ヒモ」で、真木は「危うい」のか

 同誌は、真木・片山元夫妻の間に生まれ現在は小学二年生の長女が、親権者で母親の真木ではなく父親の片山の元で生活し学校に通っていることを認識している上、直接取材したAさんからは「(真木と)破局後も相談に乗っている」と返答を貰っている。ならば、真木は長女を大人不在の家に放置しているわけではないので育児放棄とは呼べないし、Aさんは真木の新恋人ではなく元恋人で現在は友人であるというのが、現時点で導き出せる結論ではないのか。であれば、見出しにある『新恋人と“火遊び愛”』というのは、正確ではない。

 しかし記事本文では、9月下旬の真木の行動に対して「愛娘を元夫に託して、新恋人との“火遊び”に慕っている――そんな噂通りの様子が伺えた」、末尾では所属事務所のコメントに併せて「新恋人の存在も、長女との別居も否定しなかった。炎上騒動以後、公の場に姿を見せていない真木。“危うい言動”が続く裏には、さらに危ういプライベートがあった――」などと書き連ねる。小学生の子供を育てる身でありながらプライベートな時間を子供ではなく恋人との逢瀬に充てる真木は「危うい」と、そんな見解のようだ。

 真木・片山元夫妻は、200811月に結婚、翌年5月に長女が誕生、20159月に離婚し長女の親権者は真木。およそ6年余りと決して長くはない結婚生活だったわけだが、彼らの暮らしぶりや関係性はマスメディアに度々報じられてきた印象がある。

 産後に仕事復帰した真木は女優として精力的に活動し、家事育児は小説家修行中の片山が担ったという。真木は家事育児をこなす夫に感謝していたともいわれており、2012年には片山のイクメンぶりを絶賛する記事が「女性セブン」(小学館)に掲載された。しかし2013年頃から徐々に夫婦仲が険悪であるらしいと伝えられるようになり、会社員として勤めるようになった片山と相変わらず多忙な真木が家事育児の分担で揉めるようになったともいわれていた。真木の不倫疑惑が報じられたこともある。2015年の離婚発表時には、“真木が、無収入ヒモ夫の片山に愛想を尽かした”というニュアンスの記事が「女性自身」に掲載されていたのだが、真木が仕事で不在時に片山が家事育児を担っていたのであれば片山は「ヒモ」とは異なるため、違和感を覚えた。

「仕事以外の時間はすべて子供に」の息苦しさ

 話を今回の記事に戻そう。記事では、親権者である真木が長女と別居状態であることを特記事項のように扱っているが、しかし真木の元夫で長女の父親である片山が、ドラマ撮影やトラブル対応で多忙を極める真木を見かねて、長女を自宅に呼び寄せて生活の世話をしたとしても、不自然なことではないだろう。子持ち夫婦が離婚した場合は親権者のみが子の養育を一手に引き受けるべきであるという定めはないし、離婚後も育児で協力し合うことは可能だ(暴力や虐待などの事由があれば話は別だが)。

 真木・片山元夫妻に関していえば、婚姻中長女の育児は片山がメイン担当だったとされており、であれば尚更、真木の多忙時に長女が片山宅に身を寄せるのは自然なことに思える。もちろんその心中は当事者三者のみぞ知るところであり、真木、片山、長女のいずれか、あるいは全員が不本意な気持ちでいる可能性だってあるわけだが、しかし、現在シングル親である真木にとって、元夫の片山が、安心して長女を預けられる存在なのであれば、それは好ましいことであり、心強いことであるとも考えられる。一般的にも、シングル親が“安心して子供を預けられる相手や場所”を持つことは、親子の孤立や育児放棄を防ぐ意味でも有効である。

 だからといって、ただでさえ女優業で家を空けることが多いであろう真木がオフタイムを小学生の長女とではなく元恋人と過ごすなんて、長女がかわいそう……と思う人もいるかもしれない。シングル親ならば子供は寂しい思いをすることもあるだろうし、子供と一緒に過ごすことが「可能」な時間は、なるべく子供と過ごして子供と向き合うべきだ、と。もちろん子供を養育する立場にいる以上、子供と過ごす時間は必要だし大切だ。シングル親であろうと、夫婦共に暮らして子供を育てる親であろうと。しかし、子供を養育する立場にいる人(多くは子供の親)は、仕事などが入っていない自由時間(子供と過ごすことが「可能」な時間)のすべてを、子供に捧げるべきなのであろうか。

 平成27年国勢調査の結果によれば、2015101日時点での我が国の世帯数は53448685世帯(一般世帯数は53331797世帯、施設等の世帯は116888世帯)。うち、母子世帯の母親は754724人、父子世帯の父親は84003人(いずれも「他の世帯員がいる世帯」を除いた世帯であり、つまりワンオペ育児状態である可能性が高い)。母子世帯の母親の労働力人口は64万1929人(うち就業者602969人)で、労働力率91.0%。父子世帯の父親の労働力人口は77834人(うち就業者74618人)で、労働力率92.6%。つまりシングル親の9割以上が働いているか求職しているということだ。就業形態や拘束時間はさまざまだろうが、彼ら彼女らは仕事に加えてワンオペ育児もしているわけで、自由時間(余暇ともいう)が有り余っているとは考えにくい。

 同調査では、母子世帯及び父子世帯の最年少の子供の割合も明らかになっている。母子世帯では、6歳未満が132108人(17.5%)、614歳が401481人(53.2%)、1517歳が153784人(20.4%)、1819歳が67351人(8.9%)。父子世帯では、6歳未満が6175人(7.4%)、614歳が42880人(51.0%)、1517歳が22679人(27.0%)、1819歳が12269人(14.6%)。子供が6歳未満(つまり未就学の乳幼児であり、短時間の留守番もさせられず保育園・幼稚園等の送り迎えも必要)の段階で、シングル親になっている人が138283人いるのである。

 中にはこの先、再婚するなどしてシングル親ではなくなる人だっているだろうが、仮にシングル親のまま子供を育てていくとしたら、子供が12歳で小学校卒業を迎えるまでにあと712年。シングル親に、この年月の間ずっと、自由時間のすべてを子供に捧げろというのは、あまりに酷である。どんな苦行か、修行僧か。元配偶者が育児協力を仰げるような相手であるならば負荷を分散させ、一緒に生活せずとも共に育児を行っていけるスタイルを確立したほうが、シングル親(親権者)の精神衛生上よろしいのではないだろうか。そんな事情を鑑みることなく、シングル親の「余暇」を監視し糾弾するような社会の態度にこそ、シングル家庭の親子を息苦しくさせる。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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