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複数の相手との恋愛を合意で行う「ポリアモリー」を実践する人たちと出会い、あらためて考える自分自身の恋愛&結婚観

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恋人は、ひとりとは限らない。Photo by LA Mountains from Flickr

ポリアモリー(複数愛)」という言葉はご存知でしょうか。複数の人と合意のうえで性愛関係を築くスタイルをいいます。近ごろメディアで取り上げられる機会も多く、それらを見聞きしたことがある方のなかには「浮気や不倫となにが違うの?」と思った方も多いと思います。私も2年前まではその言葉すら知りませんでした。初めて知ったのは、「ポリアモリー」を実践しているきのコさんと出会ったときでした。

▼参考:わたし、恋人が2人います。|きのコ|cakes

 彼女とはAV監督である二村ヒトシさんの著書をテーマにした読書会で出会いました。身体は女性ですがジェンダークィア(Xジェンダー)とのことで、中性的な雰囲気がありながら、ピッタリしたニットを着ていて、「化粧っ気がないのになんだか色気がある人だな」というのが第一印象。「複数恋愛を合意で行う」という概念をあらわす言葉があることに驚きを覚えながらも、「もしかしたら自分にも通ずるところがあるのかもしれない……」と思いました。

 その後Twitterでフォローして様子を見ていたのですが、彼女はセックスが大好きでオープンでバイタリティあふれる人であることが伝わってきました。奔放で過激でとても強烈な印象があり、共感できる部分がありつつも、少し引き気味かつ遠巻きに見ていました。

ポリアモリー=セックス好きではない

 しかし何度か彼女とゆるい交流を持ち、直接ふたりでゆっくり話してみると、ネット上で見ていたときとは印象が変わりました。感情表現がストレートなところは無邪気な一面でもあり、バイタリティがあるがゆえに攻撃的な部分もあるものの、思っていたよりずっと落ち着いた人でした。そして案外、小柄だったのです。その言葉ひとつひとつから、セックスやコミュニケーションについて真剣に考え、勉強もしていることがうかがえました。セックスが好きな人=ドライだったりいい加減だったりと思われがちですが、そうしたイメージとは違い、きのコさんからは愛情深さを感じました。

 私は一度、彼女がセックスしているのを目の前で見たことがあります。相手は初対面の人でしたが、「この人は初めて会った人とこんなに愛をもってセックスができるのか……」と驚きました。セックスや相手に対して真摯な姿勢を感じたのです。

 彼女のパートナーやほかのポリアモリーの人と顔を合わせる機会があり、彼らとSNS上で交流するようになりました。意外にもそこには穏やかな世界が広がっていました。きのコさんは同棲しているパートナーととても仲よしで、彼女が犬のようになついている姿は見ていて微笑ましくなります。

 彼らを見ているかぎり、「ポリアモリー=多くの人とセックスをたくさんする」「セックスを複数の人と同時にする」というわけではありませんでした。

 ポリアモリーには、きのコさんのようにセックスに対してオープンな人もいます。だからこそ彼女は「ポリアモリーの誠実な側面ばかり伝えてしまうと清く正しく美しいポリアモリー像だけが認められるようになって、自分の首を締めてしまう」といい、少し偽悪的に「クズな自分」を隠さずにSNSで出している部分があるようです。

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卜沢彩子

1987年生まれ。子どもの頃からの度重なる性被害経験を、2009年から実名・顔出しでサバイバーとして発信。個人やNPOで支援・啓蒙活動をつづけている。2016年に複雑化した社会問題を解決するためにA-live connectを開業。恋愛・性をはじめとした人間関係やコミュニケーションに関する相談や講演活動、記事執筆、SEX and the LIVE!!プロジェクトの運営など場作りを行っている。英才教育を受けたオタク。和柄とねこが好き。

twitter:@ayakourasawa

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ポリアモリー 複数の愛を生きる (平凡社新書)